4人の子持ちの友人に放射能の話しを

4人の子持ちの友達からしばらくぶりでメールがあったので、来月セブ島引越の件を伝えた。
ついでに、その理由として避けられない放射能の危険についても伝えた。すると友人は驚いた様子で、すぐ電話で話せるか?というのでスカイプをつないだ。スカイプで話す前に、またパソコンで見てみてと、ママさん向け放射能情報サイトのsave childやナノハナnetのURLを送っておいた。

友人は日本人ではなくコリアンチャイニーズだが、大阪の大学に留学して以降ずっと日本に居る。7-8年前に日本人牧師と結婚し、4人の子どもを次々ともうけた。貧しいながらも楽しく暮らしている。彼女が子持ちになってからはなかなか会えなくなったが、また手が離れれば会えるようになるかなと思っていた。

話してみると友人は、すでに去年から神戸に住む弟夫婦、特に義理の妹(やはりコリアンチャイニーズ)から放射能の危険性を聞かされていて、住む場所もあるから子どもを連れて神戸へ避難してきてと何度も言われていたそうだ。それを聞いて私はちょっとほっとした。
でもそのときは聞く耳を持たなかったし、牧師であるご主人に話しても“今住んでいる場所で神さまの御用があるから引越しなんかしてどうするんだ”とけんもほろろだったし、どうしようもないからと諦めたそうだ。

義理の妹も私と同じく“日本政府やマスコミの発表に騙されないで”と友人に忠告していたらしいが、中国政府ならともかく日本政府がそんな隠蔽工作するとは思えないんだけどなぁと、友人はいまいち納得できない様子だった。

また、自分でも自治体に放射能汚染について問い合わせてみたが、放射線量や飲料水の汚染について問題ありませんと言われたというのだ。
「いやいや、中国政府のことを中国人が信用してないのは私も承知してるけど、日本も同じか、311以降はそれ以上にひどいよ。ひど過ぎてとても一言で説明できない。公式発表で安全とされている事は全部嘘と思っておくぐらいのほうがいいよ」と訴えておいた。

友人としては、放射能の危険について義理の妹や私が言う通りかもしれないし、子どもたちに何かあったらどうしようという不安な気持ちはあるが、一方で、せっかく築いた今の生活、子ども達の保育園、学校、人間関係などもあるし、ここから離れまいとする主人の理解も得られそうにない、子どもたちはすごくパパっ子だからパパと離れて暮らせそうにない、水や食品の選別なども自分にはとても実践できそうにない……そういうこと全部考えると自分にはとてもムリと思う、ということだった。
「どうしようもない状況なんだから、祈ったら神さまが守ってくれるんじゃないんだろうか?」とも悩み顔で言っていた。
「そうだね、祈ることはすごい大切だよ。でも被曝しないように行動することも必要と思うよ。私も精一杯被曝を避ける生活しながらも祈ってるもん」と答えた。

私たちの引越しに関して、国外避難しても一時期だけでまた戻ってくるとしたら結局意味ないんじゃないの?とも尋ねられたが、一応、自分たちは永住のつもりで行くし、やれるところまではやるつもりだということ、また、いずれにせよ日本には戻れる訳だから、2国永住できる国をもっておくと安心だからということを伝えた。

友人は中国瀋陽に両親や兄弟がいて、いざというときは中国にも住める。最初から2国間で住める身の上なのだから、日本人より恵まれているといえる。
子ども達の疎開という面で考えたら短期間でも効果はあるし、いざ危険だと思ったときには、母子だけでも、たとえ短期でもいいので神戸や中国など身内を頼って避難することも考えてね、とお願いしておいた。あなただけじゃなく、今はそういう母子が日本にたくさんいて、皆すごく悩んで結論を出してるんだということも。

それにしても友人の義理の妹さん(と多分、実弟さんも)が放射能の危機意識の高い人でよかった。そういう人が周りにいれば、いざというときに安心だ。
友人は私のフィリピン行きについてとてもさみしがってくれていた。上京以来10年にわたる大事な友達なのだ。私もいろいろ助けられてきた。放射能のことももっと早く伝えればよかった、ごめんねと謝っておいた。そして、出発前には絶対会おうねと約束した。
私が移住のことを早々と周りに言わなかったのは、あえてさよならっぽい雰囲気がとても苦手だからだ。所詮すごい近い国だし、NETも通じる。たいして遠いとは私自身思っていないし、さみしいという実感もないのだ。