ウクライナ戦争: プーチンの顔

UKRAINE WAR: Vladimir Putin Looks and Smiles

【PJMedia】2023年10月18日 スティーブン・グリーン著

https://pjmedia.com/vodkapundit/2023/10/17/ukraine-war-vladimir-putin-looks-and-smiles-n1735386

ウクライナ戦争はロシアの強権者ウラジーミル・プーチンにとってあまりうまくいっていないが、敗北を認めず、勝利宣言もしない程度にはうまくいっているのかもしれない。

 

戦場では、状況はそれほど良くない。南部では、ウクライナの夏から秋(から冬?)にかけての反攻が、ロシア占領下の都市トクマクに向かってゆっくりと続いている。

 

オレクサンドル・タルナフスキー将軍によれば、この都市は現在ISWによって「要塞」と表現されているが、ロシア軍が占領した南ウクライナとクリミアを「手に負えない」ものにするためのキエフの「最小目標」である。

 

ウクライナがトクマクを占領し、保持することができれば、ロシアの細い補給線が砲撃やロケット砲の攻撃を受けることになり、ウクライナ南部全域(クリミア、ケルソン、ザポリツィア)に兵力を供給する能力が複雑になる。

しかし、今のところ、この都市はキエフの手の届かないところにある。

 

東部では、モスクワがUAウクライナ)軍をアヴディフカ峡谷から追い出そうとしているが、これもまた「痛み多くして、得るもの少なし」である。

 

ウクライナの予備役将校で確かな分析実績のある人物によれば、この作戦は「軍事的な必要性よりも、むしろ政治的な動機が主であるように見える」という。

 

ロシア軍が当初アヴディフカ北方で獲得したわずかな利益は、"永続的なプレゼンス "をもたらすことはできなかった。言い換えれば、モスクワがそこで得た利益はほとんど逆転してしまったのだ。

 

ウクライナ戦争の3年目は、UAの突破口かモスクワのメルトダウン(どちらの可能性も残っている)がない限り、2年目と同じくらい悲惨なものになるだろう。

 

国家の存亡がかかっているウクライナにとっては朗報だ。しかし、プーチンにとってはより良いニュースかもしれない。プーチンにとっては、恐るべき「永遠の戦争」のひとつが、(二番煎じとはいえ)十分に良い結果になるかもしれないのだ。

 

プーチンは昨年、数週間から数日でウクライナを制圧するはずだった電撃作戦に大きな賭けをした。それに失敗し、長期戦に突入した今、次善の策は何か。

 

さらに長い戦争だ。

 

プーチンの電撃作戦が失敗すれば、ウクライナにとって最も危険なのは "西側諸国の限られた注意力 "だと、私は早くから(マジで、戦争が始まってまだ数日しか経っていなかった)、何度も警告してきた。

 

イスラエルに戦争が起き、台湾にも戦争が起きる可能性がある今、そして、西側諸国が戦時レベルまで兵器生産を引き上げることに真剣に取り組むことを自滅的に拒否している今、その危険性はかつてないほど高まっている。

 

ウクライナ全土を強制的に再統合することが不可能だと判明した場合、ウクライナNATOから締め出すことは、プーチンにとって十分な二番手だ。そのためにプーチンがなすべきこと、そしてロシアが被るべきことは、戦争を継続させることだ。

 

NATOは戦争を輸入しないというのが長年の方針だ。

つまり、ウクライナモルドバグルジアのような国々は、NATO加盟を妨げる未解決の境界紛争(すべてロシアとの)を抱えているため、「平和のためのパートナーシップ」の宙ぶらりんの国にとどまっているのだ。

 

NATOは戦争を輸入しないので、ウクライナは皆の手の届かないところにとどまる可能性がある。

 

ロシアが中国への依存を強めるなど、マイナス面もある。しかし、ロマノフ・ロシア帝国の前身であるムスコヴィーは、250年間も黄金ホルダーの支配下で生き延びてきた。

 

きっとプーチンは、彼の新しい、そしてあまり改善されていないロシア連邦は、北京の属国として50年、100年と耐えられると考えているに違いない。

 

プーチンにとって、ウクライナが恐ろしいNATOの外にいる限り、その防衛組織は歯が立たないが、ほとんどどんな代償も払う価値があるようだ。

 

プロイセンの軍事理論家カール・フォン・クラウゼヴィッツは2世紀前に、「戦争とは、政治的交戦に他の手段を加えたものにすぎない」と書いている。