【Natural News】2022年9月15日 by: イーサン・ハフ
製造業に関わるヨーロッパは、かなりの確率で終わりを迎えている。
ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵攻でロシアのエネルギーをボイコットしている大陸でビジネスを続けるには、エネルギーコストの高騰で一次金属メーカーや他の重工業が法外な値段になっている。
反ロシア制裁により、スロバキアのアルミニウム生産会社スロバルコのような大企業は廃業を余儀なくされ、ヨーロッパ経済はほとんど麻痺状態にある。
冷戦時代やモスクワと西側諸国の緊張が高まっていた時代も含め、何十年にもわたり続いてきたように、安価なロシアのエネルギーが初めて欧州に流れ込まなくなったのである。
世界最大の天然ガスパイプラインであるノルドストリーム1(NS1)の閉鎖は、ロシアを苦しめるどころか、ヨーロッパ全体の脱工業化を脅かす歴史的な出来事である。
「米国と違って、欧州はここ数十年、製造業と重工業に頼って経済を回してきた」とウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は報じている。
鉄鋼メーカー、化学メーカー、自動車メーカーなどが、その経済の大きな部分を占めている。
ヨーロッパのエネルギー危機は、鉄鋼、アルミニウムから自動車、ガラス、陶磁器、砂糖、トイレットペーパーメーカーまで、ほとんど手付かずのビジネスを残している。
エネルギー集約型の金属部門など一部の産業では、アナリストや経営者が再開できないかもしれないと言う工場を閉鎖し、数千人の雇用を脅かしている。
ヨーロッパでの金属生産はこれで終わりなのだろうか?
今まで、これはすべて一時的なものであるという仮定がなされてきた。
欧米のメディアは、プーチンは長くは続かないし、いずれはすべてが正常に戻ると言っている。
一方、「グリーン」エネルギーへの移行は、痛みをこらえようとする国々にとって、さらに悲惨なものであることが証明されている。
一部の国は、明かりを灯し続けるために、「汚れた」エネルギー産業を再開せざるを得なくなった。
このままでは、ヨーロッパは生き残ることができない。
制裁を放棄し、石炭とガスの発電所を再稼働させ、再びエネルギー面で自立する必要があるのだ。
それでも、一度停止してしまうと再稼働が困難なヨーロッパの重工業は救えないかもしれない。
ウォールストリートジャーナルのジョー・ウォレス、デビッド・ウベルティ、ジョージ・カンチェフ、ウィリアム・ボストンは、
「ヨーロッパ大陸は、資源豊富なアメリカとの競争や高い労働コスト、厳しい雇用規則、厳しい環境規制を相殺するために、安価なロシアのガスを再び利用することはできないかもしれません」と書いている。
昨年エネルギー価格が高騰する前、スロヴァルコ社は1メガワットアワー(MWh)あたり約45ドルの電力を支払っていた。
8月下旬には、同じMWhの電力がヨーロッパ全土で約1,000ドルになり、2,200%以上上昇した。
このような不安定な環境の中で、エネルギー多消費型のビジネスを続けることは、経済的に不可能であり、スロヴァルコ社もそれを承知している。
「最近の電力価格の変動は異常だ」と、スロヴァルコ社で一生を過ごしてきたミラン・ヴェセリー氏は言う。
「ヨーロッパでの金属生産は、これで終わりかもしれない。こうして、私たちは実際に産業を殺しているのです」。
同社は2023年の電力契約を更新しようともしなかった。
最近のピーク時の価格では25億ドルかかるという。
アルミニウムのリサイクル事業しか残っていないスロヴァルコ社は、最近、従業員の67%を解雇せざるを得なくなった。
「今すぐ緊急支援が必要だ。さもなければ、ドイツの脱工業化の恐れがある」と、同じく欧州の大手金属メーカー、WVメタレのゼネラルマネージャー、フランツィスカ・エルドレは付け加えた。
腐敗と愚かさの横行によって西側諸国が崩壊していく中、Collapse.newsでは最新の情報をお伝えしていく予定です。