夕方、お隣のマノイ(おじさん)・ベンがウベ(紫芋)を植える作業をしているところ、呼び止められた。
何かと思ったら“うちのチャオとクーコがラモンさん(うちのアパートのケアテイカーのお父さんでご近所)宅の畑のものを食べて、ラモンさんが怒ってチャコを移動させていたから、もう子ヤギをくくったほうがいいぞ”ということだった。
チャオとクーコ。3か月経ったところ。クーコは今日やっとへその緒が取れていた。まだデベソはそのまま。
加えてマノイ・ベン曰く“うちのウベも食べられるかもしれないし、こっちではヤギが人の作物を食べたら役場命令で1000ペソのペナルティがあるから”とのことだった。畑荒らしのヤギが役場へしょっ引かれていたという話を以前ガムさんから聞いて大笑いしたことがある。
私は、昼間チャコが誰かに移動させられていたのはもちろん知っていたが、そこの3m四方程の畑は土だけで何も生えてないはず。だから私は大げさに言っていると思い“くくるにはまだ早いと思うし、第一、よそのヤギたちはいまだにくくられておらず、うちの畑も散々お宅のヤギにも食べられて柵を造ったんだからまだくくるつもりはない。でもラモンさんが怒っていたんなら今、直接会ってきます”と言ってラモンさん宅へ向かった。
話の感じとこっちの人の性質から、ラモンさんの畑がどうのというのではなく、マノイ・ベンが自分の今植えているウベを食べられたくないから言っているのだと思えた。
“お宅のヤギや他の家のヤギもうちの畑を食い荒らしてきたではないか”という話をして突っ込むと、ヘヘヘヘと笑ってごまかしていたからだ。
これがマノイ・ベンがウベを植えている場所。
とりあえずそのままラモンさんの家へ行って“うちのヤギがお宅の畑の何か食べたと聞いたんですが、どうもすみませんでした。大丈夫でしたか? 何をどれだけ食べたんですか?”とお詫びして質問したら、“あー全然いいよ。何でもないよ”と普通に笑顔だった。
ラモンさんはいつも挨拶やちょっとした立ち話はする人だし、ヤギを連れていたら結構声かけてくれる明るいおじさんなので怒っているとは考えにくかった。
戻ってきたらマノイ・ベンはもういなかった。
それぞれの家が子ヤギ(+中ヤギ)を放し飼いにして、それぞれの家の植物(と言っても全員自分の土地ではない所に植えている)を荒らしている状態で、自分ちを棚に上げてうちにくくれというのは納得いかんと思って、結構こっちもズケズケ言い返しておいたが、うちの子ヤギがよその子ヤギよりかなり大きく活発で、特にチャオはよその家へ行きたがるので、これから何をするか分からない。
これまでで3か月でくくられているのはマノイ・ベン家のユキちゃんとうちのチャオだけかもしれない。両方、まれに見る人懐こいヤギで活発だ。
このところ本当に大きくなってきたし、母親のチャコもチャオがすぐどっかへいくので1日中わめいて声を枯らしている。また、植えたものを食われる無念さは私も自分がさんざん体験してよく分かるので、まぁそろそろ潮時かもしれないなと思っていた。
旦那も、自分たちがやられて嫌だったんだから他の人にするのはやめようよ、ということでちょっとヒモの練習をさせてからチャオだけくくることにした。チャオをくくっておけば、クーコは勝手に単独行動しないからだ。
アグネスとガムさんにも、一般的に子ヤギはどのくらいからくくるのかテキストで聞いてみたら、アグネス&その義理のお母さん(チャコの前飼い主)曰く、“特に何か月目でくくるという目安はないけど、よそへ食べにいくようになったらくくったほうがいいと思う。パングラオでも近所の人同士でしょっちゅうそういうことがあって、時にはトラブルに発展することがあるから”ということだった。
ヤギ飼育経験もありヤギ好きのガムさんも“自分で草食べに行くようになったらくくったほうがいい”とのことだった。なるほど。
それで、せめてかわいいやつにしてあげようと、スーパーで犬用の首輪を買ってきた(65ペソ)。
色違いで黒と赤を買ってきた。チャオには黒を付けた。クーコのが赤だが大きすぎたので直しが必要。チャオにもちょっと大きいかもしれない。スポッと抜けないか心配ではある。チャオは首輪を嫌がっていなかった。まずこれで1、2日は慣らして、近日中にチャオはくくることにする。
実際のところ、チャオをくくって一番喜ぶのはチャコだと思う。