BRICSについて欧米が理解していないこと

BRICSの主な目的は、アメリカや中国といった超大国に支配されることなく発展する方法を見つけることだ。

2018年7月26日、南アフリカヨハネスブルグで開催された第10回BRICS首脳会議の傍ら、中国の習近平と会談するロシアのプーチン大統領(右) © Alexey NIKOLSKY / SPUTNIK / AFP

 

【RT】2023年8月6日

https://www.rt.com/news/580888-brics-china-vassal-west/

政治アナリスト ティムール・フォメンコ 記

 

欧米の識者は、BRICS諸国は「中国の属国になる危険性がある」と主張し、同グループの他のメンバー(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ)は、経済力と影響力の面で北京に包括的に支配されていると主張している。

 

 

最近の『フィナンシャル・タイムズ』紙の記事によれば、BRICSは中国自身の対米対立の代理人となっており、北京はBRICSのパートナーを対立に引きずり込んでいるという。

 

筆者はさらに、BRICSは「豊かな世界」に対する「恨み」と「反抗的なレトリック」だけで成り立っていると、非常に見下した言葉で表現している。

 

このような解説は、BRICSやその目標を理解していない。

 

中国が西側諸国との中立的な関係や友好的な関係を望んでいる国々に協調を強要しようとしていると非難するのは、全体的な論点がずれている。

 

BRICSは、グローバル・サウス(南半球)の国々の発展的利益のためのフォーラムとなるべく発展している。

 

イデオロギーや軍事的な連携とは何の関係もなく、これらの国々が多極的な環境の構築を通じて自国の発展を促進するための政治的空間を確保し、排他的なイデオロギーや戦略的な条件に基づいて各国の成長を促進する西側モデルの限界を回避できるようにすることがすべてである。

 

このことを理解するには、国の発展は一筋縄ではいかないことを理解する必要がある。

 

社会主義は失敗だ」という右派の神話を持ち出すのは簡単だし、「貧困や混乱は南半球の特定の国だけが責任を負う」というのも簡単だ。

 

それよりももっと複雑なのだ。

どんなビジネスでも成功するためには資本と市場が必要であり、もちろん資本と市場はすでに存在している場所でしか手に入らない。

 

たまたま、過去400年間、世界の資本と市場の配分は、暴力と搾取によってその地位を獲得した排他的な国々(西洋)によって支配され、その後、自分たちに有利な条件で富へのアクセスを許してきた。


つまり、グローバル・サウスの国々は、西側諸国が設定した政治秩序やルールに従属しない限り、発展することができないのである。

 

現在、韓国のように貧困から富への転換に成功した国もあるが、それはアメリカに従属し、国家主権と戦略的自主性を犠牲にすることによってのみ成し遂げられた。

 

他方、欧米の秩序に反抗することを選んだ国々、とりわけイランのような大国は、欧米が提供する資本と輸出市場を奪われ、発展への道が強制的に閉ざされることに気づく。

 

したがって、グローバル・サウス諸国の発展の選択肢は、伝統的に欧米によるグローバル金融システムの支配によって阻まれてきた。

 

しかし、世界は今、変わりつつある。

 

アメリカは、自由市場経済が中国のイデオロギー的変容を促し、アメリカの条件を満たすようになるだろうと考え、中国をグローバル経済に組み込むという戦略的な過ちを犯したが、そうはならなかった。

 

 

今、中国が台頭し、グローバル・サウス諸国が西側諸国が支配するバブルの外で経済発展を確立するための政治的空間が生まれた。

 

これが「一帯一路構想(BRI)」などの主な推進力となっている。

もちろん、米国は現在、中国の台頭を抑えようとすることで、この世界的潮流の変化に対応している。

 

 

この新たな地政学的環境において、BRICSの戦略的重要性が高まったのは、BRICSが主に、欧米の支配にとらわれない未来の経済を形成するために、グローバル・サウス諸国が協力するためのクラブを象徴しているからである。

 

これは、フィナンシャル・タイムズ紙が誤解を招くように描いているような「中国主導のブロック」ではなく、まさに非同盟の伝統に基づいているからである。

 

したがって、FT紙はブラジルがより大きな貿易関係を求めているのは矛盾していると主張したり、インドが中国と争っていることを指摘しようとしているが、これは誤解を招く。

 

BRICSは「どちらか一方」の選択ではなく、まさに西側諸国が現在及ぼしている支配に対抗するために、多極的な環境を確立しようとするものである。

 

したがって、中国自身は西側諸国との結びつきに真に反対しているわけでもなく、むしろ西側諸国を弱体化させようとするアメリカの試みに特に反対している。

 

NATOのような組織は、米国の戦略目標を補完し、したがってイデオロギー的使命を推進するためのゼロサム同盟であるが、BRICSはより現実的で実践的である。

 

 

それゆえ、多くの国々がBRICSへの加盟を希望しているのだが、それはBRICSがこうした欧米主導の組織に代わるものだからである。