ネットゼロの経済的根拠はゼロ

The Economic Case for Net Zero Is Zero

AP Photo/Evan Vucci


【PJMedia】by:ゴードン・トゥーム 2023年03月06日 17時10分

https://pjmedia.com/columns/gordontomb/2023/03/06/the-economic-case-for-net-zero-is-zero-n1676098


ネットゼロの導入は、二酸化炭素の排出を防止するための大気温暖化よりも、世界経済を悪化させることが、著名な専門家による研究の比較で明らかになった。

 

 

つまり、化石燃料による温室効果ガスの排出をなくす努力を放棄すれば、実質的にすべての人が豊かになる可能性が高いということだ。

 

この比較は、エネルギー経済学者で商品トレーダー、『不評の真相...電気とエネルギーの未来について』の著者であるラース・シェルニカウ博士による「人為的な混乱がGDPに与える影響」と題した12分の短いビデオで紹介されていつ。

 

 

シェルニカウ博士は、コビッドやウクライナ・ロシア戦争などの「人的」混乱のコストを、コンサルタントマッキンゼー・アンド・カンパニーやウッド・マッケンジーが算出したネットゼロの実施に関する試算、気候変動に関する政府間パネルによる大気温暖化のGDPへの影響に関する予測で検証している。

 

 

それによると、2050年までにネット・ゼロを実施した場合のコストはGDPの7〜10%、ネット・ゼロを放棄した場合のコストは、2100年までに気温が2.5度上昇した場合のGDPの0.5〜4%と、その数分の1にとどまる。

 

この差は、何兆ドルという単位で測られる。

 

さらに、ネット・ゼロのコストは、予測される温暖化の影響よりも50年早く発生するため、より高いコストとなる。

 

「温暖化とGDP国内総生産)成長率の予測を一歩引いて見てみると、富を創造すればするほど、人々は悪天候や気候の影響に耐えられるようになることを考慮しなければなりません」とシェルニカウ博士は言う。

 

マッキンゼーもウッドマッケンジーも、報告書の中で、予測される温暖化を許容するよりも、ネットゼロを実施する方が世界経済にとってより有害であることを認めていない。

 

CO2排出量の削減を主張する彼らは、推進派のシナリオをそのまま受け入れているのである。

 

すべての分析において重大な不確実性が指摘されており、デイヴィッド・ウォージック博士が「カオスの数学」が気候の長期予測を不可能にしていると書いているのは、何かを見抜いているのかもしれないと思わせるものである。

 

シェルニカウ博士が言及したノーベル賞受賞の経済学者も、ネットゼロ運動がなければGDPの成長はより大きくなることに同意し、予測される気温上昇を回避することはいかなる場合にも事実上不可能であると結論付けている。

 

 

アメリ経済誌に寄稿したウィリアム・ノードハウス博士は、「即時的、普遍的、野心的な気候変動政策を行っても、気温上昇が目標の2℃を下回る可能性はほぼない」と述べている。

 

つまり、ネットゼロの経済的なケースがまあゼロであることに加え、想定される温室効果ガスの温暖化を回避する可能性はゼロであり、80年後の気候を予測することは不可能である。

 

化石燃料の恩恵やCO2の肥沃化効果を考慮すると、グリーン・ニューディーラーのシナリオはさらに悪くなる。

 

例えば、化石燃料に依存した技術によって、農業の収量は直接または間接的に少なくとも167%増加したと、気候論争の30年のベテランでこのテーマに関する本の著者であるインドゥール・ゴクラニー博士の報告書は述べている。

 

その結果、世界は産業革命が始まったころの10倍の人口(約80億人、8億人弱)を維持しながら、より多くのバイオマスを支えているのだ。

 

ちなみに、シェルニカウ博士の分析には、英国の石油会社BP社の報告書も含まれている。

 

それによると、ロシア・ウクライナ紛争のコストは、2100年までに世界のGDPの6%にものぼるという。

 

これは、人為的な地球温暖化の影響(仮にあるとすれば)を50%上回り、二酸化炭素の排出をなくすためのコストに近い。

 

 

少なくとも、ネット・ゼロを支持する政治家たちは、戦争に匹敵する経済的損害を国民に押し付け、良い結果をもたらさないことを考え直すべきである。