【America First Report】 ケン・マコン RECLAIM THE NET 2023年7月1日
世界経済フォーラム(WEF)は、インドの統合決済インターフェース(UPI)がデジタル決済に革命を起こしたと称賛し、2016年の開始以来、インド経済に約670億ドルの節約をもたらしたことを挙げている。
しかし、この称賛は、デジタルIDにリンクされたアドハーベースのデジタル決済システムに関連するプライバシーや市民の自由に関する重大な懸念を覆い隠してしまうかもしれない。
インドのUPIは生体認証システム、アドハーと連動しており、間違いなく金融取引件数を急増させた。
2021年には486億件という驚異的な取引が処理され、インドはリアルタイムの決済取引で世界をリードしている。
このシステムは経済的な節約と効率化をもたらしたが、個人のプライバシーと市民の自由に対する潜在的な脅威に対処することが不可欠である。
アドハーは、バイオメトリクス・データに基づくユニークな12桁の識別番号で、インドのデジタル公共インフラの要となっている。
UPIシステムとの統合により取引が容易になったが、その代償として大量の個人情報が収集されることになった。
金融データとバイオメトリクス情報の融合は、このデータが悪用される可能性について懸念を抱かせる。
金融取引が個人のアドワール番号と結び付き、それが生体情報とリンクしている現在、批判的な人々は、これが政府による監視への扉を開くものだと主張している。
これにより、政府は個人の金融活動をリアルタイムで監視する前例のない能力を手にすることになる。
このデータが政治的あるいは差別的な目的に使われる恐れも否定できない。
UPIシステムには膨大な量の機密データが保存されているため、ハッカーや悪意のある組織にとって魅力的なターゲットとなる。
このようなシステムでのデータ漏洩は、財務データや生体認証データが漏洩する可能性のある個人に壊滅的な影響を与える可能性がある。
また、バイオメトリクスデータと結びついたデジタル決済の強制的な導入は、自律性と選択の自由に対する権利の侵害と見なすこともできる。
人々は、必ずしも生体情報と結びつけなくても、金融取引を行う選択肢を持つべきである。
また、UPIとアドハーの統合がプライバシーと市民の自由に与える影響に関する包括的な調査もほとんど行われていない。
世界経済フォーラムの調査は、経済的な影響を強調しているが、個人が負担する可能性のある社会的・個人的コストの分析には至っていない。
インドはデジタル公共インフラの整備において大きな進歩を遂げたが、この進歩が個人のプライバシーや市民的自由を犠牲にしないことが極めて重要である。
同国が技術革新を続ける際には、経済的な影響だけでなく、データ・セキュリティ、政府による監視、個人の自由の侵害に関連する潜在的なリスクやコストも考慮したバランスの取れたアプローチが必要である。