【Natural News】2023年6月13日 BY:アルセニオ・トレド
生活費が高騰し、インフレ調整後の所得が2020年以前の水準を下回ったままであるため、米国では住宅差し押さえが急増している。
これは、不動産データグループATTOMが新たに発表した「2023年5月米国差し押さえ市場レポート」と呼ばれる情報によるという。
このレポートによると、5月に差し押さえの申し立て(デフォルト通知、予定されている競売、または銀行の差し押さえ)があった米国の物件は、合計35,196件だった。
これは、前月から7%増加し、前年比では14%増加している。
このうち、貸し手が差し押さえ手続きを始めた物件は23,245件で、先月から4%、前年比では5%増加した。
さらに悪いことに、貸金業者は4,020件の米国内の不動産の差し押さえ手続きを完了することができた。
この数字は、先月と比較して38%、前年比では41%という驚異的な差し押さえ住宅の増加を示している。
ATTOMの最高経営責任者(CEO)であるロブ・バーバーは、「全米での最近の競売申立件数の増加は、年間を通じて観察されてきた傾向であり、我々が予想していたことを示すものです」と述べている。
「この上昇傾向は、引き続き活発化する可能性を示唆しており、差し押さえ完了件数が今年最大の月間増加率を示していることから、住宅市場に与える可能性のある影響を引き続き注視していきます」
ATTOMは、差し押さえ件数の増加について、様々な要因があるとしている。
中でも注目すべきは、労働者であるアメリカ人の収入が、パンデミック前の最高値を大きく下回ったままであることで、増加分を補うことができたとしても、インフレによって消費財やサービスのコストが追いつかないほど高騰しているためだ。
このような賃金の低下により、アメリカ人は支払いが滞り、差し押さえが増加する危険性が高まっている。
■■ 差し押さえ件数、完了件数で上位を占める青い州
先月の差し押さえ件数はフロリダ州が2,901件と最も多く、次いでカリフォルニア州の2,451件、テキサス州の2,286件、イリノイ州の1,358件、ニューヨーク州の1,287件と続いている。
ATTOMが人口100万人以上の大都市圏として分類した国内主要都市圏のうち、ニューヨーク市の差し押さえ件数は1,452件と最も多く、次いでシカゴの1,163件、ヒューストンの811件、ロサンゼルスの700件、フィラデルフィアの677件だった。
一方、各州の住宅数を考慮し、それらと差し押さえ申請があった住宅数を比較すると、イリノイ州、メリーランド州、ニュージャージー州が全米をリードしている。
全国では、3,967戸に1戸の住宅に、5月に差し押さえの申請があった。
イリノイ州が最も高く、2,144戸に1戸の割合で差し押さえの申請があった。
イリノイ州に次いで、メリーランド州が2,203戸に1戸、ニュージャージー州が2,257戸に1戸の割合で続いている。
さらに、差し押さえ率が最も悪い都市圏は、クリーブランドの1,622戸に1戸、フロリダ州ジャクソンビルの1,699戸に1戸、メリーランド州ボルチモアの1,908戸に1戸、シカゴの1,991戸に1戸、フロリダ州オーランドの2,049戸に1戸だ。
差し押さえ完了件数が最も多かった州は、イリノイ州の352件、オハイオ州の279件、ミシガン州の271件、テキサス州の240件、ペンシルバニア州の229件だった。
差し押さえ完了件数が最も多かった大都市圏は、ニューヨークの244件、シカゴの230件、デトロイトの136件、ミズーリ州セントルイスの112件、ワシントンDCの91件だった。