【America First Report】BY: アルセーニョ・トレド 2023年5月18日
https://americafirstreport.com/food-collapse-incoming-ongoing-drought-forces-farmers-to-abandon-wheat-crops/
米国の広い地域で進行中の干ばつにより、小麦農家は過去100年以上見られなかった割合で作物の一部を放棄せざるを得なくなっている。
米国農務省(USDA)によると、特に米国平原地域の生産者は、作付面積の約67%しか収穫できない見込みで、1917年以来最も低い収穫率となっている。
放棄率が高いのは、グレートプレーンズで何年も続いた異常気象がアメリカの穀倉地帯に打撃を与えたことに起因している。
この冬に植えられた小麦の多くは水分不足で発育不良となり、栄養分を摂取するために収穫される穀物の頭を作ることができなくなった。
多くのエーカーを収穫せずに放置している農家は、失敗したエーカーに対して作物保険を請求したり、小麦を完全に放棄して他の作物を植えたりしている。
業界団体カンザス ホウィートの最高経営責任者であるジャスティン・ジルピン氏は、アナリストが畑を調査して生産量を推定するために、同団体が国内トップの小麦生産州であるカンザス州を巡回するところだと発表した。
「短い小麦、細い紐、とても良さそうな小麦、そして収穫される予定のない多くの畑を見ることができるだろう」と彼は言った。
昨年秋に作付けされた冬小麦は、ソフトレッド、ハードレッド合わせて約3750万エーカーであった。
農務省の推計によると、植えられた小麦のうち、収穫に値するものが育ったのは、わずか2,530万エーカーに過ぎない。
収穫可能な小麦の67パーセントのうち、状態が良いと評価されたのはわずか28パーセントであると農務省は指摘している。
冬小麦のうち、ソフトレッドは主に飼料や加工食品に、ハードレッドは焼き菓子に使われる。
また、ハードレッド小麦は米国の小麦生産量の約40%を占め、換金作物としてもカバークロップとしても栽培が可能だ。
ハードレッド小麦の生産量トップであるカンザス州では、約10%の作物が放棄された。一方、テキサス州では、なんとハードレッド小麦の65%が放棄されている。
■■ 牛の全頭飼育
この2つの放棄率は、過去10年間の平均値であるカンザス州の6%、テキサス州の55%を大きく上回っている。
また、農業分析会社グロ インテリジェンスが予測したカンザス州の8%、テキサス州の60%という放棄率も大きく上回っている。
この国のハードレッド冬小麦が置かれている厳しい状況は、米国農務省の作況報告書でも強調されている。
カンザス州では、作柄が良好~優良の割合はわずか11%で、5年平均の38%を大きく下回っている。
テキサス州、ネブラスカ州、オクラホマ州の硬質赤色冬小麦は、それぞれ20%、12%、7%とあまり良くはない。
小麦の先物は、アナリストが作物にさらなる問題があると予測したため、上昇している。
USDAは、放棄率の高さがアメリカの小麦の供給を、アナリストが予想していたよりも低いレベルまで引き下げると警告している。
レベルは16年ぶりの低水準に落ち込むと予想されている。
これにより、国内価格は上昇し続け、カナダやアルゼンチンといった国のライバル生産者からの小麦輸入が増えることになる。
米国産小麦の供給が逼迫していることへの懸念と、ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦によって黒海で起きているトラブルが、小麦先物の上昇を引き起こしている。
カンザス、オクラホマ、テキサスといった干ばつに見舞われた州で栽培される主食用品種であるハードレッド冬小麦の先物は、USDAのデータ発表を受けて7%近く急騰した。
これは、最も活発な契約の日中上昇幅としては2022年10月以来の大きさである。