生活費危機で悩むダボス会議のエリートたち

世界経済フォーラムの専門家は、危機を防ぐために、各国政府は協力して様々なリスクに取り組むべきだと警告している。

 

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【RT】2023年1月12日

https://www.rt.com/business/569711-wef-report-inflation-poses-biggest-threat/


世界経済フォーラム(WEF)の年次グローバルリスク報告書は、生活費危機、迫り来る景気後退、債務の増大が世界経済が直面する短期的な最大の脅威であると警告している。

 

ダボス会議に先立って発表された1200人の政府、企業、市民社会の専門家を対象とした年次調査は、各国が「エネルギー、インフレ、食糧、安全保障の危機」と格闘しているため、世界は今後2年間は、ほとんど安心できないだろうと述べている。

 

回答者の3分の2は、最近のCovid-19の大流行とウクライナで進行中の紛争に起因する複数のショックが近い将来世界経済に苦痛をもたらすと示唆し、専門家の5分の1は10年以内に「破滅的な結果」を予測するとしている。

 

マーシュの欧州大陸リスクマネジメントリーダーであるカロリナ・クリントはCNBCに、「私たちは新しいと感じると同時に、不気味なほど馴染みのあるものを見ているのです。つまり、解決に向けて順調に進んできたと思われる古いリスクが、再びリスクマップ上に戻ってきたということです」と彼女は付け加えた。

 

生活費の危機は、最も脆弱な人々を直撃するため、「受け入れるのが非常に難しい」最も差し迫ったリスクと見られている。

 

「各国政府は現在、インフレの高騰や歴史的な高額の債務の返済から身を守ると同時に、この影響を軽減するために真剣に取り組んでいる」とクリントは結論づけた。

 

報告書の著者は、世界的な協力を呼びかけ、当局が現在の危機を管理できなければ、「健康、教育、経済発展への投資がなくなり、社会的結束がさらに損なわれ、前例のないレベルの社会的苦境を生み出す危険がある」と主張している。

 

WEFの常務理事であるサーディア・ザヒディは、世界が「悪循環」に入りつつあるのではないかと考えており、「既知のグローバルリスクと高まるグローバルリスクがすでに混在する中で、新たな軍事衝突から新たなウイルスに至るまで、新しい衝撃事象は管理不能になりうる」と警告を発している。

 

近い将来、世界は問題が重なり合う「ポリクライシス」という課題に直面する可能性があるとし、各国が天然資源をめぐるグローバルな競争に突入していることから、「資源の競合」を最大の脅威の一つとして強調している。