ワシントンの最新のインフレ対策法案は、欧州当局から差別的であると烙印を押されている
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【RT】2022年12月4日
https://www.rt.com/business/567637-eu-complaint-us-wto/
欧州議会通商委員会のベルント・ランゲ委員長は12月3日(土曜日)、ベルリナー・モルゲンポスト紙に対し、EUは米国のインフレ抑制法(IRA)に対して世界貿易機関(WTO)に提訴すべきだと述べた。
「私の推測では、EUと米国の交渉では、IRAの実施に関する小さな変更についてさえ合意に至ることはないだろう。IRAの基本的な構造はそのまま残るだろう。この点で、EUは今後数カ月のうちにWTOに迅速に提訴する必要があると思う」と、IRAパッケージが議論される予定の12月5日(月曜)のEU-US トレード&テクノロジーカウンシルの会合に先立ち、同議員は述べている。
さらに、この訴訟は「米国の行動が明らかにWTOの規制に適合していない」ことを明らかにするのに役立つだろうと付け加えた。
IRAは、8月に米国議会で可決された4300億ドルの気候保護・社会保障パッケージである。
このパッケージは、気候変動に取り組むだけでなく、インフレ対策やエネルギー価格の削減を支援することを目的としている。
クリーンエネルギーに投資する米国企業に手厚い減税を行い、国内の電気自動車、バッテリー、再生可能エネルギープロジェクトに多額の補助金を出すというものである。
この措置はEU内に懸念を呼び起こし、多くの人がこの「保護主義的」な法律はヨーロッパ企業に対して「差別的」であるかもしれないと警告している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、IRAの補助金条項を「超攻撃的」と非難し、ドイツのロベルト・ハベック経済相は、ブリュッセルにこの法律に対する「強固な」対応を求めている。
一方、EUのティエリー・ブルトン内市場委員は、ジャーナル・ド ディマンシェ紙に、この法律はEUと他の米国製品の買い手との間に「競争上の不均衡」をもたらすと述べた。
同委員は、EU域内の産業プロジェクトを支援する「欧州主権基金」の創設を呼びかけた。
ランゲ氏はまた、米国の法案に直面して、EUは国内産業への支援を強化すべきであると提案した。
また、「現在、エネルギー価格が米国の10倍にもなっているため、EUの産業界のためにエネルギー価格を下げることができるかどうか、またどのように下げられるかを検討しなければならない」と述べた。