水素燃料が化石燃料の長期的代替品としてふさわしくない理由

Image: Why hydrogen fuel is not a good long-term alternative to fossil fuels

 

【Natural News】2022年6月15日 by: アルセニオ・トレド

https://www.naturalnews.com/2022-06-15-hydrogen-fuel-not-good-alternative-fossil-fuels.html

 

 

化石燃料に代わるものを探している気候変動活動家たちは、より持続可能な自動車用動力源とされる水素燃料にますます注目するようになっている。

 

 

しかし、彼らは、水素燃料には大きな欠点があり、代替燃料として成立しそうにないことに気づいていない。

 

 

Manhattan Contrarian誌に寄稿したフランシス・メントンは、水素燃料の普及を阻む重要な問題のひとつを「エネルギー貯蔵の難問」と呼んでいる。

 

 

これは、「風力や太陽光のような断続的な自然エネルギーによって発電された電気は、生産量が少ない時に顧客の需要を満たすためにエネルギーを蓄える何らかの方法がなければ、電力網を稼働させ続けることができないという、明白だがほとんど認識されていない問題」だと彼は書いている。

 

 

風力や太陽光発電にとって、こうした生産量の少ない時間帯(日照時間が短く、天候が穏やかな夜や日)はかなり予測しやすいものである。

 

 

気候変動活動家にとっては、このようなエネルギーの少ない時期は、水素のような他の再生可能エネルギーで補うことができる。

 

 

しかし、社会を動かすために、あるいは何百台、何千台もの水素燃料電池自動車のバッテリーを充電するために必要な水素燃料を大量に使用するには、エネルギー省(DOE)でさえ認めている問題がある。

 

 

「水素貯蔵に関する包括的な技術的課題は、重量、体積、効率、安全性、コストという車両の制約の中で、従来の走行距離(300マイル以上)に必要な量の水素をいかに貯蔵するかということだ」と、DOEは "水素貯蔵の課題 "という記事で述べている。

 


さらにDOEは、「これらのシステムの性能寿命にわたる耐久性を検証し、妥当性を確認しなければならず、許容できる燃料補給時間を達成しなければならない」と続けている。

 

 

■■ 大規模な水素エネルギー利用には別の問題がある

 

 

化石燃料の代替として、水素燃料の普及を阻むのは、これだけではない。

 

最も顕著な問題は、天然ガスなどの化石燃料を使い続ける場合のコストと比較して、水素発電を採用する場合のコストが高いことだろう。

 

 

コストが高いのは、実用に耐えるだけの水素燃料の製造が難しいことに起因する。

水素燃料の製造には、プラチナやイリジウムなどの貴金属を使った触媒が必要だからだ。

 

 

このため、水素燃料は天然ガスの3倍から5倍の価格になっており、最近の燃料価格の高騰があっても、水素エネルギーへの投資を躊躇させている。

 

例えば、水素燃料電池ソーラーパネルよりはるかに高価だ。

 

 

気候変動活動家は、水素発電のインフラと燃料電池技術の開発に十分な投資と政治的意志があれば、水素は十分に安価で普及し、真に実行可能なエネルギー源になると予測している。

 

 

しかし、現在のような価格、あるいはそれに近い価格では、断続的な自然エネルギーのバックアップ燃料として『グリーン』な水素を大量に購入する人はいないだろうし、購入者がいなければ、誰も水素を大量に生産しないだろう」とメントン氏は書いている。

 

 

 

もう一つの大きな問題は、特に気候変動活動家にとっては、水素エネルギーが依然として化石燃料技術に基づいていることだ。

 

 

世界中で生産される水素エネルギーの約95パーセントは、天然ガスから作られている。

 

 

水素燃料は、天然ガス中の炭化水素を水素と二酸化炭素に分解する水蒸気メタン改質によって作られる。

 

 

つまり、水素を製造する際に炭素を大気中に放出することになり、気候変動活動家はこのプロセスに強く反対しているのだ。

 

このため、水素燃料は多くの人が思っているほど環境に優しい燃料源とは言えない。

 

 

 

このほかにも、水素燃料の普及を支える適切なインフラがないこと、入手しにくいこと、可燃性の燃料であるため危険であることなどが、水素エネルギーの大規模な利用を困難にしている要因である。

 

 

 

しかし、仮に水素燃料を取り巻く問題のほとんどが解決されたとしても、大規模な利用を阻む要因の1つはコストであるとメントン氏は指摘する。

 

 

 

「経験則から言えば、エネルギーコストは現在の5倍から10倍程度になるだろう」と彼は書いている。