天使が悪魔になったわけ(イザヤ書14章とエゼキエル書28章)②【聖書の観点から考察】

前回、創世記1章1節から2節について考察しました。そこでは天使そのものは出てこないので、今回は、最も優れた大天使が悪魔になった理由が書かれている箇所を見てみます。

イザヤ書エゼキエル書の箇所で天使の堕落がよく分かります。


イザヤ書14章11-17節
14:11 あなたの栄華とあなたの琴の音は/陰府に落ちてしまった。うじはあなたの下に敷かれ、みみずはあなたをおおっている。
14:12 黎明の子、明けの明星よ、あなたは天から落ちてしまった。もろもろの国を倒した者よ、あなたは切られて地に倒れてしまった。
14:13 あなたはさきに心のうちに言った、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、
14:14 雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』。
14:15 しかしあなたは陰府に落され、穴の奥底に入れられる。

大天使が堕天使となり悪魔になったのは、『わたしは天にのぼり、わたしの王座を高く神の星の上におき、北の果なる集会の山に座し、雲のいただきにのぼり、いと高き者のようになろう』と、自分が神のようになろうと、分をわきまえないようになったからです。つまり、大変な高慢に陥ってしまったのです。

 

この大天使はルシファー(*堕落前はルシファーとはいいませんが、ややこしいのでルシファーにしておきます)ですが、最も美しい天使であり、賛美の長を務めていました。しかし自分の美しさと賢さに酔いしれてしまったのです。自分は神様より優れていると考えたのかもしれません。

 

神様は有りて有るお方であるのに、ルシファーがいくら頑張っても、しょせんは神様につくられた被造物です。それなのに、神になるという反逆を起こしたため、天から地へ落とされたのです。

 

さて、もう一つの箇所は、ルシファーの事が書かれています。ルシファーは神様に油を注がれ、神の園のエデンで多くの宝石に覆われていました。そして、神の聖なる山で火の石の間を歩いていたのです。

 

最初の天地創造では、神の園のエデンは、宝石と火の園だったことが分かります。再度、創造された天地でのエデンは植物や動物の園となりました。アダムとエバエデンの園です。


■エゼキエル28章12-19節
28:12 「人の子よ、ツロの王のために悲しみの歌をのべて、これに言え。主なる神はこう言われる、あなたは知恵に満ち、美のきわみである完全な印である。
28:13 あなたは神の園エデンにあって、もろもろの宝石が、あなたをおおっていた。すなわち赤めのう、黄玉、青玉、貴かんらん石、緑柱石、縞めのう、サファイヤ、ざくろ石、エメラルド。そしてあなたの象眼も彫刻も金でなされた。これらはあなたの造られた日に、あなたのために備えられた。
28:14 わたしはあなたを油そそがれた/守護のケルブと一緒に置いた。あなたは神の聖なる山にいて、火の石の間を歩いた。
28:15 あなたは造られた日から、あなたの中に悪が見いだされた日までは/そのおこないが完全であった。
28:16 あなたの商売が盛んになると、あなたの中に暴虐が満ちて、あなたは罪を犯した。それゆえ、わたしはあなたを神の山から/汚れたものとして投げ出し、のケルブはあなたを/火の石の間から追い出した。
28:17 あなたは自分の美しさのために心高ぶり、その輝きのために自分の知恵を汚したゆえに、わたしはあなたを地に投げうち、王たちの前に置いて見せ物とした。
28:18 あなたは不正な交易をして犯した多くの罪によって/あなたの聖所を汚したゆえ、わたしはあなたの中から火を出してあなたを焼き、あなたを見るすべての者の前で/あなたを地の上の灰とした。
28:19 もろもろの民のうちであなたを知る者は皆あなたについて驚く。あなたは恐るべき終りを遂げ、永遠にうせはてる」

 

◆補足:このエゼキエル書では、ルシファーだけでなく、文が切り替えられては、別の人物、栄華を極めたツロの王とが交差して書かれています。分かりづらいと思います。

このツロとは、現在のレバノンの国の地中海沿岸の場所です。このツロは地中海全域で莫大な貿易を行っており、最も裕福な都市でした。そのツロの王が、ルシファーと交互のように記されています。

なぜ交互に主語を違えて書かれているのかというと、ツロの王は大富豪であり高慢であっても人間です。しかし、ルシファーは人間ではなく、悪魔なわけです。ですから、神様の目にはツロの王よりも、ルシファーである悪魔が最も悪の存在なので、この二者を混同しつつも、区別しているのです。