麦男が急に鼓腸症になって焦った

昨夜、外から度々変な声が聞こえて、見に行っても何事もなさそうで理由が分からず、その後、叫ぶ声がして慌てて行くと、麦男だった。反芻動物が胃などの詰まりや発酵しやすいものを多量に食べたことなどをきっかけに、急激に胃の中で食べた物が発酵し、ガスが胃にたまってパンパンになる鼓腸症というもので、1年半前にチャコが同様の症状を起こして、初めてのことだったがなんとか助かった経験がある。見る見るうちに腹が風船のようにパンパンに膨らんで、チャコも硬直しており死ぬのではないかと思った。

チャコの場合は幸い、オリーブオイルを飲ませただけでそのショックでゲボッと咳込み、詰りが取れて回復してしまって非常にラッキーだったが、麦男はそんなにコロッと回復せずで、神様に癒やしを祈りながら、腹のマッサージをしたりして少しずつ胃のガスを出すのにがんばった。たびたび大声で叫ぶのでかわいそうだった。

反芻できなくなることで、ガスが急激に胃にたまって腹がパンパンになると、血管や肺などの臓器が圧迫されて最後は死んでしまったり急死することもあるようだ。何もせず放っておくとまずい病気なので、まずは前回チャコの時に成功した油を試し、即効性がなかったので腹マッサージをし、その後さらに、手拭いで細いヒモをつくり麦男に猿ぐつわをした。

猿ぐつわをしてヒモを噛むことで唾液が多量に出てヤギの胃の中に入り、ヤギの唾液で胃のPH調整がなされて過発酵が抑えられ、反芻ができるようになるという効果があることを今回知ったからだった。とにかく試しにやってみたら、すぐにくちゃくちゃヒモを噛み始め、1時間ほどで落ち着き、様子を見て明け方4時まで噛ませて、それからヒモを外してやった。細いヒモにしたし、特に猿ぐつわを取ろうとしたり嫌がってはおらず、ずっとおとなしくもぐもぐとヒモを噛んでいた。

朝7時前に見たら、反芻しながらいつも通り何食わぬ顔でまったりくつろいでいたのでホッとした。

麦男には珍しく、真っ先に小屋から飛び出して外へ出ていった。お腹が減ったのか、元気に外で食べ始めた。それどころかもう反抗的な態度になっていつもどおりの麦男に戻っていた。あんまり今日は食べないほうがいいと思うが……。

今回も助けてくださった神様に感謝。何かとヤギたちの不調や事故などがあって大変なことがあるが、こちらでは家畜動物の獣医師にすぐ見て貰えるような環境がないため非常に怖い面もある。しかし今までその都度助けられており、動物を憐れんでくださる神様の恵みにただただ感謝です。