アメリカの家計は負債の罠に陥っている

2024年2月15日 【TLBスタッフ】マイケル・ウィルカーソン著

https://www.thelibertybeacon.com/american-households-are-entering-a-debt-trap/

他人の金を使うことで、富と繁栄の幻想を生む

 

アメリカの家計は金銭的な記憶が浅いようだ。2008年から2009年にかけての世界的な金融危機の教訓を学んでいないのか、それとも単に覚えていないのか、米国の家計の多くは15年以上前と同じ過ちを繰り返している。

 

具体的には、積極的な支出と借金の積み増しを、どちらも慎重に減らすべき時にしているのだ。

 

第4四半期の個人消費支出は3.8%増加し、米国内総生産GDP)全体の成長率3.3%を上回った。

 

所得の増加がそれを支えることができるのであれば、支出を増やすことに本質的な問題はないが、現状はそうではない。経済分析局のデータによると、2023年の個人支出は個人所得の2倍以上の伸びを示した。

 

この支出増を支えているのは所得ではなく負債である。ニューヨーク連銀の家計負債と信用に関する最新の四半期報告書によると、2023年末までに家計負債総額は過去最高の17.5兆ドルに増加する。

 

これは、2019年末のパンデミック前の水準から24%増加し、わずか1年前より3.6%増加した。

 

この負債の大部分(12.3兆ドル)は住宅ローン残高を反映しているが、自動車ローンと学生負債はそれぞれ1.6兆ドル、クレジットカードは1.1兆ドル超の消費者負債を追加している。

 

注目すべきは、第4四半期にクレジットカードの残高が4.6%増加したのに対し、個人消費は0.7%しか増加していないことである。


この傾向が危険なのは、負債総額だけでなく、2019年以降、家計負債が年率5.5%(3兆ドル超)で増加している一方で、同期間の実質個人所得は年率1.9%しか増加していないという事実である。

 

言い換えれば、家計は絶対額でも収入に対する相対額でも、2020年の戸締まりによる不況以前よりも負債が増加している。

 

米国人の経済的苦境を示す他の兆候としては、収入に比して貯蓄が減少していることと、生活費をやりくりするために既存の貯蓄に手をつけていることが挙げられる。

 

米国世帯の個人貯蓄率は5月の5.3%から12月には3.9%に低下した。パンデミック(世界的大流行)前の8%を超える水準と比較すると、最近の個人貯蓄率は世界金融危機前以来の低水準である。

 

貯蓄が減っているだけでなく、アメリカ人の貯蓄も枯渇している。個人の貯蓄総額は2019年12月以降、27%以上減少している。この状況は長くは続かないだろう。

 

学生ローンの返済再開により、多くの家庭の債務返済負担が増加している時に、このような事態が起きている。2020年に実施された連邦学生ローンの返済猶予は2023年9月に終了した。

 

FRBの報告書によると、2024年第4四半期まで「連邦学生ローンの未返済は信用情報機関に報告されない」ため、消費者がこれらの支払いを行っているかどうかを知る方法はない。とはいえ、学生ローンの債務者の多くがすでに支払いを滞納していると考えるのが妥当だろう。

 

過去2年間に金利が急上昇したため、消費者の債務返済コストはそれに応じて上昇している。2024年2月、クレジットカードの平均借入コストは、昨年の23%以下から28%に近づいている。

 

いずれにせよ、クレジットカードの借金は、返済せずに放置しておくと、たちまち制御不能に陥る。米国の家計は、ますます債務の悪循環に陥っている。

 

バイデノミクスは米国政府と同じ影響を家計にもたらしている。どちらも身の丈を超えた生活をしており、持っていないお金を使っている。

 

これは、今日の消費を増やすために明日の消費をあきらめるのと同じことだ。明日の永続的な繁栄の代償として、今日のつかの間の楽しみのためにお金を払っているのだ。

 

他人の金を使うことは、富と繁栄の幻想を生み出すが、遅かれ早かれ、人生の現実(と債権者)が介入してくる。

 

増え続ける与信枠と減り続ける貯蓄を利用する能力は枯渇し、家計は、少なくとも一時的には自分でお金を印刷できる米国政府とは違って、逃げ場を失う。

 

やがてパーティーは終わり、二日酔いはつらいものになるだろう。