ホワイトハウス、ウクライナ支援が途絶えればプーチンが勝利すると警告

Ukraine aid to run out by year's end, White House warns

ウクライナ支援が年内に底をつくとホワイトハウスが警告出典:White House warns: Pixabay

【Insider Paper】AFPDecember 4, 2023 15:20 pm

https://insiderpaper.com/ukraine-aid-to-run-out-by-years-end-white-house-warns/

ホワイトハウスは12月4日(月曜)、米国のウクライナ支援が年内に底をつき、議会が新たな資金拠出に合意できなければロシアのプーチン大統領が戦争に勝利する可能性があると警告した。

 

ジョー・バイデン大統領の予算責任者であるシャランダ・ヤング氏は、共和党のマイク・ジョンソン下院議長にあてた率直な書簡の中で、もし軍事援助が枯渇すれば、ロシアの侵攻に対するキエフの戦いは「膝を打つ」ことになると述べた。

 

民主党のバイデンは10月、ウクライナへの軍事援助とイスラエルの対ハマス戦争を含む1060億ドル規模の国家安全保障パッケージを議会に要請したが、この資金は議会内の分裂に陥っている。

 

「この瞬間に使える魔法のような資金はない。資金もなく、時間もほとんどない。議会が行動を起こさなければ、年内にはウクライナのために武器や装備を調達する資金が尽きてしまう」

 

「米国の武器と装備の流れを断ち切ることは、戦場でウクライナを打ちのめすことになり、ウクライナが獲得した利益を危険にさらすだけでなく、ロシアの軍事的勝利の可能性を高めることになる」

 

国家安全保障諮問委員会のジェイク・サリバンはさらに踏み込み、ウクライナへの援助に反対票を投じることは、事実上、ロシアの成功を容易にする投票であると示唆した。

 

「議会は、ウクライナの自由のための戦いを支援し続けるのか、それとも歴史から学んだ教訓を無視してプーチンに勝たせるのかを決めなければならない」とサリヴァンホワイトハウスで記者団に語った。

「それほど単純なことだ。それほど厳しい選択なのだ」

 

■■ 懸念

ウクライナは、キエフの反攻が夏に失敗した後、ロシア軍が冬に攻撃を強化する中、西側からの援助増額を必死に求めている。

 

しかし、前任者が右派のクーデターで失脚し、10月に就任したジョンソン議長は、この書簡に冷静な反応を示した。

 

「バイデン政権は、ウクライナにおける明確な戦略の欠如について、私の会議が抱いている正当な懸念に何一つ実質的に対処していない」とジョンソン議長は12月4日(月曜日)、X(旧ツイッター)で述べた。

 

ジョンソン氏はまた、移民が急増する中、ウクライナ支援とメキシコとの南部国境に関するアメリカの政策変更を結びつけるという共和党の主張を繰り返した。

 

バイデンは、プーチンハマスが近隣の民主主義国家を「消滅」させようとする双子の勢力であるとして、10月に要求した援助パッケージの中で、ウクライナへの610億ドルとイスラエルへの140億ドルを、国境への資金提供とともに結びつけようとしている。

 

しかし、議会は共和党の内紛で数ヶ月間麻痺しており、特に戦争が3年目に突入する中、強硬派の議員たちはキエフへのさらなる援助に反対している。

 

議会は感謝祭の連休中に政府機関の閉鎖をぎりぎりのところで回避したが、1月中旬まで明かりを灯すという取り決めでは、ウクライナイスラエルへの援助は見送られた。

 

■■ プーチンは「和平には応じない」 

ウクライナの前線は、ウクライナ軍がこの夏、西側の軍用ハードウェアで大規模なプッシュを行ったにもかかわらず、昨年はほとんど静止したままだった。

 

ロシアが2022年2月に侵攻して以来、アメリカはすでにウクライナに1110億ドルを割り当てており、そのうちの670億ドルは軍事調達に充てられている、とヤング氏は言う。

 

ヨーロッパ諸国もまた、戦争への疲労が蓄積するにつれ、ウクライナへの資金確保という課題に直面している。

 

ワシントンでは、プーチンが来年のアメリカ大統領選挙まで事態を静観するのではないかという懸念が高まっている。

 

世論調査によれば、キエフを助けるために米国がやり過ぎているという有権者が増えている。

国務省高官は先週、記者団に「プーチンは我々の選挙結果を見るまでは、和平や意味のある和平を結ぶことはないだろう」と語った。

 

この高官はその理由を明言しなかったが、モスクワは、ロシアの指導者を称賛し、ウクライナに対するアメリカの援助に疑問を呈しているトランプによる復帰を好んでいると広く見られている。

 

トランプは2019年、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に圧力をかけ、かつてウクライナのエネルギー企業に勤めていたバイデンの息子ハンターに関する機密情報を掘り起こそうとしたとして、下院で弾劾された。

 

この件ではトランプは上院で無罪となり、2度の弾劾のうち最初の弾劾となった。