オランダのマーク・ルッテ首相は7月10日、約13年間の任期を終え、政界を去ると発表した。
オランダのマーク・ルッテ首相
出典:AFP=時事 Pixabay
【Insider paper】AFP時事2023年7月10日 5時15分
https://insiderpaper.com/dutch-pm-rutte-says-to-quit-politics-after-elections/
中道右派のルッテ首相は、4度の政権を襲ったスキャンダルを乗り切ったことから「テフロン・マーク」のニックネームで呼ばれ、亡命政策をめぐる連立政権の崩壊によって引き起こされた選挙後に退陣すると述べた。
ハンガリーのヴィクトール・オルバンに次いで欧州連合(EU)で2番目に長く在任した指導者は、今秋の選挙で5期目を目指すとの見方が強かったが、突然の発表で国会議員を驚かせた。
「大丈夫だと思うが、もちろん個人的には重要な瞬間だ」と、56歳のルッテ首相は議会を出た後、AFP通信に語った。
自転車に乗り、質素な生活を送るルッテ首相は、2010年以来、経済の激変とコビットの大流行を乗り越え、有権者にアピールするために「ミスター・ノーマル」のイメージを頼りにオランダの舵取りをしてきた。
彼はまた、救済に対する強硬路線で一部の南欧諸国を激怒させたが、ウクライナを支援したことで支持を得た欧州の旗手でもあった。
■ バトンタッチ
4党連立政権は金曜日、オランダで亡命希望者との再会を許可されている紛争地域出身の家族の数を削減するというルッテの計画をめぐって崩壊した。
キリスト教民主党のクリステンウニーと中道左派のデモクラシー66はルッテの計画に強く反対していた。
昨年8月にルード・ルッバース氏を抜き、オランダで最も長く首相を務めたルッテ氏は、新政権が発足するまで暫定首相として留任する。
彼は10月に就任13年を迎える予定である。
「個人的なことを申し上げたい。ここ数日、何が私を突き動かしているのかという憶測が飛び交っている。唯一の答えはオランダです」とルッテ首相は連立政権崩壊に関する議会討論で語った。
「昨日の朝、私はもはやVVD(党)の新党首にふさわしくないと決断した。選挙後に新政権が発足したら、私は政治家を辞めるつもりだ」
ルッテはその後、記者団にこう語った。
「しかし、バトンを渡すのはいい気分だ」
各方面の政治家は敬意を表したが、すでにポスト・ルッテの時代を見据えており、特にオランダの農民による抗議政党は、最近の上院選挙での成功を繰り返したいと考えている。
農民たちは、家畜の数を減らし、環境目標を達成するためにいくつかの農場を閉鎖する計画に反対し、数ヶ月にわたって騒々しい集会を開いてきた。
■非常に驚いている
農民市民運動(BBB)のリーダーであるキャロライン・ファン・デル・プラスは、AFP通信に対し、ルッテの決定には「とても驚いた」としながらも、「とても賢明な判断だ」と語った。
彼女は、首相を務めるかどうかは「まだわからない」としながらも、「オランダにとって良いニュースは、新しい政策が打ち出されることだ」と語った。
オランダの議員たちは、ルッテ首相の長年のライバルである極右指導者ゲルト・ウィルダース氏が議会でルッテ首相を賞賛し、拍手を送った。
「あなたの選択は私たちのものではなかったが、あなたは信念を持って選択した」
野党は、ルッテ首相を臨時首相にする不信任案を破棄した。
ヴォプケ・ホークストラ外相は、倒れた連立政権の政党のひとつであるCDAの党首も辞任すると述べ、ルッテ首相を、「信じられないほど尊敬している」と語った。
彼はその後、漫画のキャラクター、タンタンを使ったミームをツイートし、「なんていう1週間だったんだ!」と言い、「まだ月曜の朝だ」と返信した。
11月中旬に行われるであろう選挙に先立ち、今週候補者を選ぶと発表したルッテ党内には、明らかな後継者はいない。
放送局RTLによると、トルコ出身のディラン・イシルゴズ法務大臣と、ルッテ首相の元アシスタントであるVVD党のソフィー・ヘルマンス党首が有力候補の一人だという。
一方、ルッテ首相はNATOや欧州理事会でもトップの座を狙われている。
しかし、彼はその代わりに非常勤講師としての仕事を続ける意向を示した。
「もしかしたら、数日間はそうするかもしれない」と彼は記者団に語った。