【Natural News】2023年4月28日(金) by: ローラ・ハリス
https://www.naturalnews.com/2023-04-28-human-immune-system-compromised-for-fatter-chickens.html
畜産業において抗生物質が広く使用された結果、人間の免疫システムに対してより耐性のある細菌が出現している。
オックスフォード大学の科学者が行った研究によると、以前、中国の養豚場や養鶏場で成長促進剤として使用されていた抗菌剤コリスチンが、身体の初期防御機構を回避しやすい大腸菌を出現させる結果になったことが判明した。
「これは、抗生物質に対する耐性よりもはるかに危険なことです」と、研究の主執筆者であるオックスフォード大学の進化・微生物学教授、クレイグ・マクリーンは警告している。
「これは、農業における抗菌剤の無差別使用の危険性を浮き彫りにしています。太ったニワトリを生産するために、私たちは誤って自分たちの免疫システムを危険にさらしてしまったのだ」
抗生物質の使用は長い間論争の的となっており、多くの専門家が、家畜に広く使用されることが抗生物質耐性菌の増加の一因になっていると警告している。
近年、農業における抗生物質の使用を減らす動きが活発化し、多くの国で抗生物質の使用を制限する規制が導入されている。
しかし、こうした取り組みにもかかわらず、抗生物質耐性菌は増え続けており、人間の健康や世界の食料安全保障に大きな脅威を与えていることが、今回の研究で示唆された。
■■ コリスチンに類似した抗生物質の開発は自然免疫を危険にさらす可能性がある
この研究の意義は、現在の畜産業の慣行にとどまらない。
この研究は、コリスチンと同じクラスの抗菌ペプチド(AMP)と呼ばれる新しい抗生物質の開発が、自然免疫を損なう特別なリスクを伴う可能性があることを示唆している。
AMPは、ほとんどの生物が自然免疫反応の一部として産生する天然由来の化合物で、感染に対する第一線の防御手段として機能する。
コリスチンは細菌のAMPに由来し、ヒトの免疫系で生成される特定のAMPと化学的に類似している。
1980年代に畜産業でコリスチンが過剰に使用されたことにより、コリスチン耐性遺伝子を持つ大腸菌が出現・拡散し、その後、同薬の農薬としての使用が制限されるようになった。
本研究では、MCR-1と呼ばれる耐性遺伝子を持つ大腸菌を、ニワトリ、ブタ、ヒトの自然免疫に重要な役割を果たすことが知られているAMPに暴露した。
■■ また、この細菌は、ヒトの血液血清に対する感受性もテストされました
その結果、MCR-1遺伝子を持つ大腸菌は、この遺伝子を持たない大腸菌に比べて、ヒトの血清に対して少なくとも2倍の耐性を持つことがわかった。
平均して、この遺伝子はヒトと動物のAMPに対する耐性を62%増加させた。
さらに、耐性大腸菌株は、対照株と比較して、感染症を引き起こし、蛾の幼虫を殺す可能性が2倍になった。
この研究結果は、畜産業における抗生物質の使用に関する現在進行中の議論に拍車をかけることになりそうである。
耐性菌の増加がもたらす結果を推定するのは難しいが、この研究はまだ十分に解明されていない根本的なリスクに光を当てている。
マクリーンは、その危険性はAMPベースの薬剤に対する細菌の耐性が進化する可能性にあると指摘している。
抗菌薬耐性は世界的な脅威であり、国連は、スーパーバグによって2050年までに年間1000万人が死亡する可能性があると警告している。
新たな抗生物質の開発が急務であることから、ヒト型AMPをベースとした薬剤を含め、AMPが解決策となる可能性に関心が高まっている。
世界が抗生物質耐性という課題に取り組む中で、この増大する問題に対処するための緊急措置が必要であることは明らかだ。
畜産業における抗生物質の使用量を減らすか、研究開発への投資を増やすか、あるいはその両方を組み合わせるかは、まだわからない。