オーストリア・ウィーン
【フリーウエストメディア】2022年10月6日
欧州気象機関(European Weather Forecast Agency)によると、欧州では例年より風雨が少なく、寒い冬になる可能性があるという。
このため、欧州大陸のエネルギー危機を解決しようとする各国政府が直面している問題は、さらに深刻化することが予想される。
欧州中距離天気予報センター(ECMWF)による予測では、熱帯成層圏の風と大西洋全域の地表気圧が再生可能エネルギー発電量を減少させることを挙げている。
この政府間機関は35カ国に支えられ、海洋、陸上、大気のデータを追跡するコペルニクス気候・大気変動監視サービスを統括している。
ECMWFのディレクターであるFlorence Rapierは、11月と12月は西ヨーロッパで高気圧に覆われ、寒波や風、降水量の減少をもたらす可能性があることを強調した。
「このようなパターンになると、気温が少し下がるだけでなく、風力発電のための風が弱くなり、水力発電のための降水量も減るので、多くのエネルギーを必要とします」と、彼女はフィナンシャルタイムズに語っている。
政策立案者は、ロシアからのガス輸入に対する制裁により、高いエネルギーコストに直面している。
欧州連合(EU)は、再生可能エネルギーへの多様化により、2027年までにロシアのガス輸入を完全に停止すると公約している。
短期的には、大西洋を横断する最近のハリケーンは、より穏やかで雨や風の強い天候を意味するとラピアは述べている。
しかし、今年の後半には、ラニーニャと呼ばれる太平洋の海面冷却に由来する大気の状態によって涼しくなり、地域によって風と降水のパターンに変化が生じる。
ヨーロッパの発電における風力と水力発電の出力は、この夏、高温で乾燥した天候の結果、低下している。
ルクセンブルクのクロード・トルメスエネルギー・空間計画相は、ENTSO-E(欧州連合の電力網運用者ネットワーク)に対し、今冬の電力供給に対するリスクについて、1カ月早い10月に最新情報を提供するよう閣僚らに要請していると述べた。
■■ 南半球の異常な冬の寒さ
地球の半分は赤道より南側にある。北半球には、南極大陸やグリーンランドの氷の砂漠を除いた地球の陸地のほぼ4分の3があり、世界の人口の90パーセントもここにいるのである。
このため、赤道より南側がどのような場所であるかという話はあまり聞かれない。
また、気候に関する議論が主に北半球に関するものであるのも同じ理由からだ。
しかし、南半球は地球の気候の半分を占めているにもかかわらず、それを体験している人は10人に1人しかいないのだ。
また、世界のほとんどの海があり、厚さ4キロメートル以上の氷床を持つ氷の大陸、南極大陸もある。
それらが地球の気候に影響を及ぼしていることは明らかである。
北半球の多くの地域が異常なほど暖かい夏を迎えた一方で、南半球の多くの地域は異常なほど寒い冬を迎えている。
南アフリカの気象庁は、7月12日から16日にかけて雪が降ると警告していた。
フォルクスラントの町では雪が降り、氷点下10度の冬道となった。山岳地帯の王国レソトでは、7月末にスキーリフトがオープンした。
隣国のナミビアとボツワナは異常な寒さで、ナミビアは零下10度、ボツワナは零下7,7度だった。赤道直下のケニアでは生育が阻害された。
7月、オーストラリアのクイーンズランド州では、平均気温が平年より8〜12度低くなった。ウォンデクラは7月14日に2.6度のマイナスを記録した。7月24日には国内の広い範囲で平年より10度以上低くなった。
ニュージーランドも異常な寒さに見舞われた。
ブラジル南部では、サン・ジョアキムが8月13日に13度のマイナス気温となった。
平均で平年より20度低い気温となった。
ブドウ畑に影響が出た。昨年6月には、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイで異常な寒さとなった。
昨年6月17日、地球最大の氷の砂漠、南極大陸の氷床は氷点下81.7度だった。
2018年の地球の絶対的な寒さの記録は、そこで計測されたマイナス98.6度。
8月23日の南半球の平均気温は、1979年から2000年の平均を0.4度下回った。
地球温暖化が差し迫っているという警告を立証するものではない。
より寒い大気では、ジェットストリームはより大きな湾に移動し、南半球では北からの暖かい空気、南では冷たい空気を取り込む。
北半球ではその逆である。