2024年7月9日、ワシントンDCで開催されたNATO首脳会議の記者。© Getty Images / ゲッティ イメージズ
【RT】2024年7月16日‐ 21:33 ホームワールドニュース
バルダイ・クラブ プログラム・ディレクター ティモフェイ・ボルダチョフ 記
https://www.rt.com/news/601179-heres-why-nato-no-longer-works/
■■西側諸国の衰退を加速させる米国圏
歴史は多くの軍事同盟を見てきた。しかし、NATOほど明確な不均衡を抱えた同盟はない。
このブロックの最強国の安全保障に関して言えば、他の加盟国の能力は無視できるほど重要ではない。
核兵器の登場によって、核兵器を大量に保有する大国は、連合パートナーを選択肢ではなく必然的なものとみなすことから解放された。
このことは、最終的に彼らが率いる同盟のダイナミズムを規定する。
ワシントンで開催されたサミットで75周年を祝ったばかりのNATOは、2つの理由から創設された。
ひとつは、加盟国の深刻な内政変化と、西ヨーロッパ諸国やトルコにおける共産主義の蔓延を防ぐためだった。
冷戦終結後、NATO加盟は東欧やバルト諸国の新権力にとってのセーフティネットと見なされた。
ウクライナのナショナリストたちは、NATOへの加盟は、ロシア語を話すウクライナの住民から自国の運命を決定する能力を永久に奪う最善の方法だと考えた。
第二に、NATOの仕事は、ソ連との直接対決に備えて西ヨーロッパ諸国をアメリカの橋頭堡にすることだった。
この目的のために、インフラストラクチャーが整備され、アメリカ軍をヨーロッパに展開する手順が定められた。
NATOはこの2つの任務をおおむね成功させた。
特に、アメリカやその同盟国が、グローバルな市場経済に参加することで社会経済的な問題を解決したいと考えていた発展途上国にとって魅力的であったときは、その傾向が顕著であった。
西側諸国は、戦略的敵対国であるモスクワを避ける代わりに、彼らに投資と技術を提供することができた。
しかし、この最も結束力が強く、武装した軍事ブロックは、今や歴史の間違った側面に立っている。ほとんどの主要国の国内問題は、自国の富と権力を築きたいという外の世界の欲望によって引き起こされている。
ヘンリー・キッシンジャーが、中国の台頭はドイツの統一や冷戦の終結よりもはるかに重要であると書いたのは無意味なことではない。
中国の後を追うように、インドは西側の投資と技術に依存しながらも、アメリカに対して反抗的である。
一方、西側諸国は、北米と西ヨーロッパの人口をはるかに上回る12カ国に肩入れしている。
同盟の管理下にある空間を無思慮に拡大した結果、大衆動員は不可能となり、非常に困難な問題に直面することになった。
帳尻を合わせるために、NATOのエリートたちは今後長期にわたって自国民を貧困化させなければならない。
英国のように、この方向に急速に進んでいる加盟国もある。
また、新しい現実を売り込むのに苦労している国もある。
ドイツやフランスがそうだ。
基本的な経済問題を解決できないエリートたちは、それ自体が、冷戦後に繁栄するニッチを見つけることができなかったフィンランドですでに起こったような、本当の戦争ヒステリーに備えることになるようだ。
これらの目標が達成されるまでは、西側諸国が直面する課題への対応は、軍事・外交面でも国内面でも策略をめぐらすしかないだろう。
前者では資源が不足し、後者では画期的なアイデアが不足している。
経済・社会構造の優先順位を軍に移すことは、もちろん産業部門の地位をある程度回復させ、さらに雇用を創出するのに役立つだろう。
しかし、そのためには所得分配システムの完全な再構築が必要となるため、成功は決して確実ではない。
今のところ、西側諸国にはまだ流れに身を任せるだけの資源がある。
しかし、外部からの圧力が強まる中で、それがいつまで続くかはわからない。
状況は、NATO諸国がまったく適性のない指導者のもとで、こうした複雑な問題に対する答えを見つけなければならないという事実によって、さらに悪化している。
多くのオブザーバーは、これこそが西側諸国から発せられている主な脅威だと考えている。