水戦争 ウクライナから中東まで、水が紛争の焦点になりつつある


【Natural News】2024年1月2日 リチャード・ブラウン著

https://www.naturalnews.com/2024-01-02-water-focal-point-conflicts-ukraine-middle-east.html

半年前、悲劇的な爆発がウクライナのカホフカ・ダムを破壊し、58人の命を奪った。

 

ドニプロ川沿いの絵のように美しい風景に大惨事をもたらし、かつては生産性の高かった農地への水の供給を断ち切った。

 

衝撃的なことに、この事件は、ロシアとウクライナの戦争の中で発生した一連の水インフラ攻撃のひとつに過ぎない。

 

ダムはロシアの支配下にあったにもかかわらず、ウクライナ政府関係者や欧州議会は、ダムの破壊はロシアによるものだとしている。

 

この事件は、水関連の紛争がエスカレートし、専門家や政策立案者がその結果に頭を悩ませている世界的な現象の縮図となっている。

 

パシフィック・インスティテュートの「水紛争年表」は、水関連の紛争をカタログ化し分析する包括的な取り組みであり、2022年から2023年前半にかけて世界全体で344件という驚異的な件数を報告している。

 

水紛争年表は、水に関する紛争の複雑な状況を明らかにし、暴力的な事件が大幅に増加していることを明らかにしている。

 

この急増は、ウクライナでダムや水系が意図的に狙われたことや、中東やその他の地域で水関連の暴力事件が全体的に増加したことが一因となっている。

 

パシフィック・インスティテュートの共同設立者兼シニアフェローであるピーター・グレイクは、民間の水インフラに対する攻撃の増加傾向に注目した。

 

このような攻撃が増加傾向にあることは、干ばつや気候の変動、人口の増加、水資源をめぐる競争の激化によって水不足が深刻化している地域社会への影響を懸念させる。

 

30年以上にわたって水に関する紛争を追跡してきたグリックは、データベースが現在1630件以上の紛争を記録しており、厄介なエスカレートを観察してきた。

 

このような増加傾向は、水関連の暴力の根本原因に取り組むことの緊急性を強調している。

 

パシフィック・インスティテュートは、水や水システムが暴力の引き金となるケース、水が「武器」として使用されるケース、水インフラが暴力の「犠牲者」となるケースという3つのカテゴリーに事件を詳細に分類している。

 

すべてのケースで負傷者や死者が出るわけではないが、多くのケースで負傷者や死者が出ており、コミュニティへの影響は甚大である。

 

ロシア・ウクライナ戦争以外にも、世界各地で水紛争が勃発している。

水資源をめぐる紛争は、世界各地で流血を引き起こしている。

 

インド、ケニア、イエメンなどでは、水資源をめぐる紛争が流血につながっている。

イランとアフガニスタンの国境では、ヘルマンド川を中心に致命的な衝突が起きており、水に関する紛争がもたらす遠大な影響を物語っている。

 

中東を詳細に分析すると、2022年に入ってから水をめぐる紛争が107件報告されており、厄介なシナリオが浮かび上がってくる。

 

これらの紛争の約60%は、イスラエル人とパレスチナ人の間で起こっている。

イスラエル軍パレスチナ人が所有する井戸や給水システムを破壊したり、水源をめぐって衝突したり、パレスチナ人のインフラを取り壊したりする事例が、この地域の緊張激化に大きく寄与している。

 

ラテンアメリカでは、環境活動家が暴力の犠牲になっている。こうした紛争の背景にある動機は、政府の支援を受けた企業体による破壊から水源、森林、河川を守ることであることが多い。

 

2016年に悲劇的に殺害されたホンジュラス先住民族活動家ベルタ・カセレスの事件は、水の保護を提唱することが致命的な結果をもたらすことを思い起こさせる。

 

世界が水にまつわる紛争の急増に取り組むなか、ピーター・グリックの著書『水の3つの時代』が出版された。

先史時代の過去、危機に瀕した現在、そして未来への希望。

 

グリックは、水にまつわる紛争のルーツを古代メソポタミアまで遡り、数世紀にわたるこれらの問題の進化を浮き彫りにしている。

 

水不足が引き金となった暴力の増加は、より広範な水危機の徴候であり、ガバナンスの弱さや腐敗、水への不均等なアクセス、水利権の不公平な分配、極端な干ばつなどが影響している。

 

グライクは、水をめぐる暴力のリスクを軽減する効果的な戦略を開発するためには、こうした出来事の背景にある原動力を理解することが極めて重要であると強調している。