過去最高水準に達した世界債務と「タダ飯」の終焉

Debt【Aamerica First Report】BY:マイケル・マハーレイ 2023年10月17日 

https://americafirstreport.com/global-debt-at-record-levels-and-the-free-lunch-is-over/


(シフ)国際金融研究所(IIF)によると、2023年上半期の世界の債務は10兆ドル増加し、過去最高の397兆ドルに達した。

 

債務の大幅な増加は、信用状況の引き締めにもかかわらず発生したもので、人為的な低金利という「タダ飯」は終わったのだから、ますます憂慮すべき問題である。


過去10年間で、世界の債務は100兆ドルも増加した。

 

政府、家計、企業の負債を合計すると、今年の第2四半期には世界のGDPの336%に達した。世界の債務残高の対GDP比は今年2ポイント上昇した。

2023年以前、世界の債務残高対GDP比は、世界的なパンデミック(世界的大流行)による政府封鎖の最盛期に360%という記録を達成した後、7四半期連続で低下していた。

 

世界の新規債務の約80%は先進国が積み上げたもので、日本、米国、英国、フランスがその先頭を走っている。

 

新興市場では、中国、ブラジル、インドを含む経済大国が最大の債務増加を記録した。

 

IIFは声明で、「金利の上昇と債務残高の増加が政府の利払い費を押し上げるため、国内債務のひずみは増大するだろう」と述べた。


ピーター・プレートは欧州中央銀行のチーフエコノミストを務めた。彼はロイターに対し、債務レベルはまだ持続可能だが、支出ニーズが減少しないという事実を考えると、見通しは憂慮すべきものだと語った。

 

今日、多くの国々を見れば、財政危機からそう遠くないことがわかるだろう。

プレートは楽観的すぎるようだ。

 

アメリカ政府は33兆ドル以上の負債を抱えている。実際、バイデン政権はわずか20日間で半兆ドルもの借金を増やした。その一方で金利は上昇し、連邦政府は国防費と同じくらい借金の利払いに費やしている。

 

そして借金と支出に終わりは見えない。

 

世界中の中央銀行が10年以上にわたって人為的に低金利に誘導してきたことが、借金の大波を引き起こした。これは意図的なものだった。

 

借り入れと支出が世界経済を「刺激」し、大不況と政府主導のパンデミック政策によって引きずり下ろされた世界経済を活性化させる、と考えられていたのだ。

安易な金融緩和政策が軌道から外れてしまうかもしれないとは、誰も考えなかった。

 

しかし、フィッチ・レーティングスのマネージング・ディレクターであるエドワード・パーカーが言うように、「タダ飯は終わり、利払いは債務や歳入を上回るペースで増加している」のだ。

 

特にアメリカ経済は、借金と支出で成り立っている。金融緩和はその生命線である。人為的な低金利なくして経済は成り立たないのだ。世界経済もほぼ同じ状況にある。

 

そのため、連邦準備制度理事会FRB)をはじめとする中央銀行は岩と岩の間に立たされている。

景気刺激策として何兆ドルもの資金を生み出し、世界経済に注入した結果、物価上昇率が急速に高まったことに対抗するため、金利を高く維持する必要があるのだ。

しかし、こうした金利上昇は、結局のところ、借りて使う経済の状況を壊すことになる。