十分な埋蔵量があるにもかかわらず、加盟国は買いだめした燃料をほとんど管理できていないようだ。
ドイツ、ザクセン＝アンハルト州ベルンブルクのカタリーナ天然ガス貯蔵施設
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【RT】2022年10月21日
https://www.rt.com/business/565052-eu-gas-storage-problem/
欧州連合（EU）は、冬のシーズンを前にロシアのエネルギー供給が全面的に停止する可能性に備え、ガス備蓄が国家安全保障の優先事項として浮上している。
欧州連合は、旺盛な需要に対応するため、備蓄を補充するための義務的なレベルを設定している。
RTは、緊急事態が発生した場合、加盟国がこれらの備蓄に対して実際にどの程度の権限を持っているのかを検証している。
■■EUの備蓄は今どの程度満たされているのか？
EU諸国は、11月までに天然ガスの貯蔵所を80％満タンにするという目標をすでに達成している。
Gas Infrastructure Europe（GIE）のデータによると、今週は94％程度で、2017年から2021年までの平均と同じ水準に達している。
欧州圏最大の経済大国であるドイツの貯蔵所は93%で、11月までに95%にするというベルリンの目標に近い。
■■ EUの主要な貯蔵施設はどこにあるのか？
EUの貯蔵能力は、フランス、ドイツ、イタリア、オランダにある大規模な施設に偏在している。
ドイツにはEUで最大の貯蔵施設がある。GIEによると、EUは年間消費量の約5分の1にあたる1170億立方メートル（bcm）以上の天然ガスを貯蔵する能力を有している。
■■ 貯蔵されたガスは誰が管理しているのだろうか？
誰が備蓄を管理しているかについては透明性のあるデータが不足しているが、各国政府が供給量をほとんど管理していないことが判明している。
ブルームバーグがまとめたデータによると、イタリアからオランダまでの貯蔵施設にあるガスのうち、国家戦略備蓄を通じて公務員が直接管理しているのは10％程度に過ぎない。
残りはグレンコアやヴィトールなどの国際的な商社、エネルギー事業者、産業グループの手中にある。
これらの企業は、たとえそれが他国であっても、最も高い入札者に自由に売ることができ、彼らの主な関心は利潤を最大化することである。
■■燃料はどのように配給されているのか？
ガス供給網は、市場間を行き来することで機能していると考えられている。
十分な燃料がある限り、システムは均衡を保つはずだ。
しかし、緊急時には、各国政府は備蓄されているガスから必要な量を取り寄せることができる。
豊かな国は、貧しい国よりガスの供給を上回ることができる。そのため、近隣諸国はガス不足に陥る可能性がある。
■■ 解決策はあるのだろうか？
長期的なエネルギー安全保障のために、政府が管理する戦略的備蓄のためのガスと貯蔵場所の創設と調達が提案されている。
つまり、欧州の中央集権的なプラットフォームで、加盟国が共同でガスを購入し、それを使って戦略的備蓄を作るというものだ。
つまり、各国が保有するガスの貯蔵量を互いに共有するのである。
しかし、そのようなプラットフォームを立ち上げるには何年もかかると専門家は警告している。
■■ ガスシェアリングは可能か？
加盟国間のガスシェアリング協定は、緊急事態に備えたEUの大きな仕組みの一部である。
EUの法律で特別な保護を受けている家庭や社会サービスのニーズを満たすのに十分なガスがない場合、一方の国が他方の国に供給することを保証するものである。
欧州委員会によれば、加盟国が天然ガスを共同購入することで、EU域内の競争とさらなる価格高騰を避けることができるという。
しかし、EU全域でエネルギー危機が深刻化しているため、一部の国はそのような連帯取引を控えている。
■■ EUに何が待ち受けているのか？
専門家によれば、EUのガスネットワークは、今回のような危機的状況下で運用されたことはなく、天候に大きく左右されるという。
コンサルタント会社のウッド・マッケンジーによれば、寒い冬が続いた場合、3月末までに在庫が10％を下回る可能性があり、来年の冬に向けて再び供給争奪戦が始まる可能性があるという。
一部のトレーダーやアナリストは、ロシアのガス供給がない来年、EUの目標が11月1日までに90%に引き上げられるため、在庫の補充が真のテストになると警告している。
