下水処理場。写真提供:パトリック・フェデリ
https://freewestmedia.com/2022/10/21/four-german-states-are-repealing-rules-on-water-purification/
ドイツの下水処理場では、化学物質が不足している。
そのため、4つの連邦州が抜本的な対策をとっており、彼らはリン酸塩の制限値を超えることを容認している。
下水の化学洗浄に欠かせない「沈殿剤」の欧州での生産量が、自業自得のエネルギー危機で50%以上減少している。
その後、ドイツの下水処理場の4分の1が納入不良を報告している。
化学業界は現在、背水の陣で臨んでいる。
ますます多くの企業が倒産の危機にさらされている。
業界団体VCIのゼネラルマネージャーであるヴォルフガング・グローセ・エントラップ氏は、最近NTVのインタビューに答えて、次のように述べた。
「エネルギー価格の高騰は、この業界に大きな打撃を与えている」。
VCIのボスは、「したがって、我々は非常に批判的かつ深い懸念を持って将来を見据えている」と付け加えた。
そしてそれは、影響を受ける企業の従業員だけでなく、一般市民にとっても深刻な結果をもたらす。
ドイツの多くの下水処理場では、リン酸塩に関する厳しいガイドラインを遵守するための鉄塩とアルミニウム塩がもはや十分ではない。
リン酸塩を結合させ、下水汚泥と一緒に廃棄される、いわゆる沈殿剤は、通常、塩酸の生産に伴う副産物である。
この生産が、逆に問題になっている。その理由は2つある。
1つは、塩酸の生産はエネルギー集約型であるため、電気やガスが高い時代には非常に高価になること。
2つ目に、インフレで景気が悪くなると、塩酸を製造工程で使う製品の需要も減る。
例えば、ペンキやワニスなどがそうだ。
ドイツ水処理・廃水・廃棄物協会(DWA)は、9月の代表的な調査の結果、下水処理場の4分の1がすでに緊急に必要とする化学物質の納入不良を報告していることを報告した。
10月には、この配送のボトルネックは、国内の2番目の下水処理場オペレーターに影響を与えると予想された。
このような状況下でも下水処理場の操業を継続できるよう、ノルトライン=ヴェストファーレン州、メクレンブルク=西ポメラニア州、ニーダーザクセン州、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州で、リン酸塩の規制値を超えてもよいという法令が発布されている。
テューリンゲン州でも同様の規制が発表され、ザクセン=アンハルト州でも対応する法令が準備されている。
このことは何を意味するのだろうか。
下水処理場はリン化合物を排出した場合、国に廃水料金を支払わなければならないが、この料金は廃水料金という形で国民に還元される。
リンの濃度が高ければ高いほど、料金も高くなる。
つまり、水処理にかかる費用が著しく高くなる可能性があるのです。
長期的には、水域へのリンの排出量が増え、その物質が河川を経由して海に到達することで、富栄養化も進む可能性がある。
沈殿剤が不足すると、事業者は廃水中のリン酸塩を十分に結合することができなくなる。
この処理不良の水が河川に流されると、リン酸塩が藻類などの栄養分となり、問題となる。
その結果、水中の他の動植物から栄養分や酸素を奪ってしまう恐れがあるのだ。
また、藻類の種類によっては、動植物に有害な毒素を水中に排泄するものもある。
また、リン酸塩が大量に海に流れ込むと、藻の絨毯ができ、日光を遮るため、他の生物に害を与える。
これが「デッドゾーン」である。
■■ もうひとつの問題
飲料水にも影響がある。
下水処理場だけでなく、飲料水の供給会社からも、化学物質の不足が報告されている。
いわゆる浮遊物質から水を取り除くのに必要な凝集剤も不足しつつあるのだ。
これは深刻な事態を招きかねない。凝集剤がなければ、「最悪の場合」水は濁り、「飲料水として供給できなくなる」と自治体企業協会(VKU)はノイエ・オスナブリュッカー・ツァイトゥング(NOZ)紙に語っている。
VKUによると、影響を受ける飲料水供給会社は、特にダムなどから水を得ている会社である。
この水は懸濁物質処理されなければならない。
NOZの要請により、4つの連邦州は、下水処理場がリン酸塩の規制値を超えることを許可する政令を出したことを確認し、事業者が当局に超過分を報告することが必要であることを付け加えた。
河川のリン酸塩濃度が高くなるのは、寒い季節には藻類がほとんど繁殖しないので冬でも可能だが、このまま春、あるいは夏になっても緊急事態が続けば、大きな頭痛の種になりかねない。