EU議会によるロシアの「テロ支援国家」指定は何を意味するのか?

       

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【RT】2022年11月25日 BY:レイチェル・マースデン・ドットコム

https://www.rt.com/news/567048-eu-parliament-terrorism-sponsor/

 

欧州議会の拘束力のない決議は、政治的意図に根ざしたPR活動である。

11月23日(水曜日)、欧州議会のメンバーは、ロシアをテロ支援国家と名指しする決議案を採択した。

 

この動きは、ウクライナ代表団の要求を受けて、わずか2日前に行われた同様のNATO議会委員会の投票に続くものである。

 

NATOの場合、モスクワに対抗する必要性を常に強調することで、冷戦後の存続を正当化してきたことを考えれば、これ以外の結果はあり得なかったのだろう。

そして、「ロシアの脅威」という宣伝がなければ、余計なお世話である。

 

しかし、欧州議会の最終目的は一体何なのだろうか?

 

EUには「テロ支援国家」という呼称すらなく、決議案もその点を指摘している。

EUは制裁の対象となるテロ行為に関与した個人、グループ、団体のリストを保持しているが、現在の法的枠組みは、米国やカナダなどの国々とは異なり、国家をテロ支援国家として指定することを規定していない」と、その一行には書かれている。

 

この決議には法的拘束力はない。

ロシアはすでに前例のないほどの制裁を受けており、さらに追加されることが絶えない。

 

では、ブリュッセルは何を達成したいのだろうか。欧米主導のPR活動で、国民の心の中に「ロシア」と「テロ」を混同させることに加え、何を達成したいのだろうか。


議会は過去数年間、ウクライナ紛争が赤熱するずっと前から、ロシアをISISのような実際のテロ集団と並べて参照してきた。

 

例えば、2016年10月にストラスブールが発表した「ロシアとイスラムのテロ組織からEUへのプロパガンダ圧力が高まっていると、外交委員会の欧州議会議員が決議で述べている」。

 

テロリズム」、「ISIS」、「ロシア」を特にひどく混同している。

 

当時モスクワは、ワシントンが「シリアの反乱軍」に訓練と装備を与えたことを受けて、バシャール・アサド大統領の招待でシリアのイスラム国の温床との戦いの最前線に立っており、その一部は結局実際のジハード主義グループに加わることになったからだ。

アルカイダだ。

11月23日(水曜日)の決議は、シリア政府をテロリストとすることで、その歴史を逆行させた。

 

ロシアは、テロリストの政権や組織、特にシリアのアサド政権を支援し、資金を提供してきた。ロシアはアサド政権に武器を提供し、その防衛のためにシリアの民間人に対する意図的な攻撃を行ってきた。

 

同様に、EUは、ウクライナの非国家的暴力行為者であるアゾフ戦士がウクライナ軍に組み込まれ、ロシアに対する自由の戦士として再ブランド化されるまで、西側による訓練、装備、資金提供を非難するのに丸8年間を費やさなければならなかった。

 

民主党のロ・カンナ下院議員は2018年に戻って、何年もの間、アメリカの議会の資金調達法案には、「ネオナチを公然と仲間に受け入れているウクライナの物議を醸す超民族主義民兵」へのアメリカの武器と資金の供給を禁止する文言が削除されていたとさえ指摘した。

 

EUは紛争を防ぐことも止めることもできない。例えば、ロシアからの安価なエネルギー供給を断ち、代わりにキエフとその主要な支援者であるワシントンがモスクワと物事を解決するように主張しているが、この決議はEU当局者の反ロシア的なレトリックを倍加させるものである。

 

「エネルギー輸出を地政学的な強要の道具として利用しようとするロシアの試みは、エネルギー供給を武器として使うことに等しい」と書かれているが、「ウクライナのために」自国のエネルギー供給を断つと豪語してきたのはEU当局である、という事実は無視されている。

 

「2022年9月26日のノルドストリーム1と2のパイプラインの損傷は、バルト海での大規模なガス漏れにつながり、これもEUへの環境攻撃を構成する」とも決議案は言っている。

 

自国のエネルギー基盤を爆破したのは、例えば、自国のガス販売へのEU依存を確保しようとする西側の利益ではなく、紛れもないロシアだと根拠なく暗に言っているのだ。

 

このブロックレベルの決議には拘束力がない。つまり、大部分は象徴的な動きである。

 

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ウラジーミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領が、ロシアに同様の呼称を突きつけることを繰り返し拒否してきた。

 

アメリカのバイデン大統領も同様で、この動きが裏目に出て、アメリカがウクライナの戦闘員を支援することになる可能性を認めている。

 

アメリカは過去に「テロリズム」という呼称を使ったことがあるが、その傾向がある。