ベネズエラ、イラン産原油の輸入を開始

ベネズエラの経済失政は、イランのような亡国とより緊密な関係を築くことを余儀なくされている。

 

   

【THE LIBERTY LOFT】by:ホセ・ニーニョ  2022年5月21日

https://thelibertyloft.com/2022/05/21/venezuela-is-starting-to-import-iranian-crude-oil/

 

Stratforのレポートによると、ベネズエラの国営石油・ガス会社PDVSAは、4月に20万バレル、5月9日の週に40万バレルのイラン産重油を追加で輸入したとのことだ。

 

イランとベネズエラの貿易関係強化により、PDVSAは短期的にファルコン州にあるベネズエラのカルドン製油所を通じて精油生産量をわずかに増加させることができるようになる。この製油所では、1日当たりおよそ31万バレルの石油を生産している。

 

ベネズエラの石油・ガス不足が深刻化する中、石油の増産は国内供給を拡大させることにつながるだろう。


イランとベネズエラは、米国という共通の敵がいるため、経済的、さらには軍事的パートナーとして自然にマッチしている。この関係は、突然生まれたわけではない。

 

ベネズエラとイランは、石油輸出国機構の創設メンバーである。1979年のイラン・イスラム革命以来、二国間関係を続けてきた。

 

 

ベネズエラとイランの関係が緊密になり始めたのは、ウゴ・チャベス時代(1999〜2013年)である。 この時期、両国は建設、インフラ、プロジェクト、エネルギー生産の問題で協力した。

 

2005年にイランのアフマディネジャド大統領が就任すると、チャベス政権との関係強化を図った。政権を担当する間、アフマディネジャド大統領とチャベス大統領は何度も国賓訪問を行い、社会プログラムやインフラ整備に関する事項で270以上の二国間協定に調印した。

 

それぞれの国の指導者は、自国政府を「アメリカ帝国主義」の反対勢力と位置づけ、アメリカ支配の政治秩序に対抗する「結束の軸」と位置づけてきた。

 

2013年のチャベス大統領の死後、ニコラス・マドゥーロは前任者のイランとの関係強化政策を継承している。中東の国は、フアン・グアイドー国民議会議長がマドゥーロを政権から追放しようとした2019年1月に、マドゥーロに大規模な外交支援を拡大した。

 

ブラジル、カナダ、米国、欧州連合などの国や、アルゼンチン、コロンビアなどの中南米諸国数カ国はグアイドーを暫定大統領として承認した。一方、中国、ロシア、トルコ、イランといった国々は、この大統領危機においてマドゥーロを支持した。

 

翌年、イランは、経済政策によって石油部門の不始末が蔓延しているベネズエラ政権に石油タンカー5隻を送り込んだ。

 

イランとベネズエラは、米国という共通の敵国を持つことから、自然なパートナーである。米国がイランやユーラシア諸国と敵対する中で、イランはベネズエラと関係を築くことで巧みに恩返しをし、ヒズボラなどの代理人を使ってベネズエラでの足場を拡大しているとさえ言われている。

 

また、英米の支配的な秩序に対抗して地政学的・地経済的な並列構造を構築するロシアと中国にとっても、両国は強固なパートナーになるはずである。

 

イランとベネズエラがエネルギー問題で協力関係を深めているのも、集団的な西側に対抗するために形成されつつある並列秩序の兆候に過ぎない。