ウクライナとロシアの食料輸出の消滅を受け、世界の農業市場の買収を競う国々

  Image: Countries racing to take over global agriculture market following disappearance of Ukrainian and Russian food exports

 

【Natural News】2022年5月4日  by: アルセニオ・トレド

https://www.naturalnews.com/2022-05-04-countries-racing-to-control-global-agriculture-market.html

 

戦争の結果、ロシアとウクライナの農産物輸出が消滅したことを補うために、複数の国が農業生産量の増加を急いでいる。

 

ヨーロッパの穀倉地帯として知られるウクライナは、ロシアの侵攻により、いまだにその豊かな農地の手入れをほとんどできないでいる。同様に、ロシアも欧米の経済制裁により、農産物を含む輸出品のほとんどを国外に持ち出すことができない。

 

このため、世界の農産物市場には大きな格差が生じている。インドと米国は、できるだけ多くの契約を獲得するために急いでいる多くの国のうちの2つに過ぎない。

 

■■ 小麦の輸出拡大を目指すインドとアメリ

インドでは、農家が農作物の国際価格の高騰に乗じている。多くの農家が、農作物に安い価格を提示している州の備蓄業者ではなく、民間の取引業者に農作物を売っているのだ。

 

インド食糧公社が定める最低支持価格(MSP)とは、「久しぶりに、MSP以上の価格を支払う用意がある」と農家のラジェンシン・パワルさんは指摘する。

「インドの小麦輸出の増加は、我々のような農家を助け、はるかに良いリターンを得ている」と、食品・農業ビジネスのOlam Agro Indiaの副社長であるニティン・グプタ氏は言う。

 

インドの農産物輸出のバラ色の見通しを妨げている大きな懸念の一つは、急激な気温の上昇によって収量が低下する可能性があることだ。インドを襲った最近の熱波により、政府は現在過去最高の1億1132万トンとなっている2022年の小麦生産量見込みを修正せざるを得なくなるかもしれない。

 

米国では、ホワイトハウスが、小麦生産者に畑を二毛作させるために、農業部門への5億ドルの補助金を承認するよう議会に要請している。

 

この要請は、米国の農作物、特に小麦の輸出向け生産を増加させることを目的としている。もし議会がホワイトハウスの要求を認めれば、ウクライナが通常輸出している小麦の最大50%を米国の農家が代替することになるだろうと農務省は主張している。

 

■■ ウクライナの農業部門がすぐに回復する見込みはない

ウクライナでは、少なくとも来年までは、同国の農業は回復し始めないと予想されている。

ウクライナの農地は戦争で壊滅的な打撃を受けた。農機具が破壊され、地雷まで敷き詰められた農地も少なくない。キエフウクライナ政府は、これらはウクライナの農業部門を足止めするためのロシア軍による意図的な破壊行為であると主張している。

 

「一部の農場の被害の大きさは、港の混乱や肥料の不足とともに、戦争のウクライナの農業への影響が来年まで続く可能性を示している」と、ウォール・ストリート・ジャーナルのアリスターマクドナルド記者は書いている。

 

ウクライナの農地は、地雷が散乱しているか、砲撃の跡で大きなクレーターがある。かつて農場で働いていた多くの人々がすでに死亡し、さらに多くの人々が現在ウクライナ軍に所属している。

 

ウクライナ最大の農業会社IMCの最高経営責任者アレックス・リシツァ氏は、この時期にはウクライナ北部のチェルニヒフ州にある約3万ヘクタールの土地で、従業員がヒマワリやトウモロコシを植えているはずだと述べた。

ロシア軍はこの地域から戦略的に撤退し、ウクライナ東部に兵力を集中させている。

 

「今年、あるいは再来年には、ここで何もできなくなりそうだ」とリシツァは言う。

キエフによると、チェルニヒフ州を含むキエフ周辺地域の農地の約30%が、地雷や不発弾の存在により使用不能になっているという。

 

また、農作物を保護し、1エーカーあたりの収穫量を上げるための肥料などの化学物質も不足しており、ウクライナの農家は頭を悩ませている。

 

戦争前、リシツァのトウモロコシ畑では、通常1ヘクタール(2.47エーカー)あたり約11トンの農産物が収穫できたという。「今は1ヘクタールあたり8トンあれば満足ですが、間違いなく少なくなるでしょうね」と言っている。