ロシアの要求がイラン新核合意の完成を脅かす

   

(AP Photo/Alexander Zemlianichenko)
 【PJmedia】by:リック・モラン 2022年3月5日

ウィーンで、イランと新たな核取引の交渉をしている西側諸国は合意に近づいているという。しかし、取引で重要な役割を果たすことになるロシアは、ウクライナの制裁がイランとの取引に支障をきたさないという保証を望んでいる。


ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、国際的な制裁が世界中に広がっている中、3月5日(土曜日)にこの要求を行った。

ワシントンとテヘランの直接協議では、どの制裁がどのような順序で解除されるかがまだ決定されていない。また、イランの核物質をどのようにロシアに移送するかという点についても、詳細が詰められようとしている。

 

2015年の核合意におけるロシアの特定の役割は、制裁から保護される必要があると常に理解されていた。それには、イランから濃縮ウランを受け取り、イエローケーキと交換すること、イランのフォルドウ核施設を研究センターにする作業、その他テヘランの施設に核に特化した納品が含まれる。

 

しかし、ラブロフ氏は、ロシアのウクライナ侵攻を理由に西側諸国が最近発動した厳しい金融、経済、エネルギー制裁に大きな抜け穴をもたらすような、はるかに広範囲な保証を要求しているように見えた。

 

イランをロシアの制裁逃れのパートナーにすることは、モスクワにとって理にかなっている。イランは、エネルギーと通信という、イランが切実にアップグレードを必要としている2つの分野で、ロシアの専門知識を得ることができる市場である。また、イランはロシアの武器にとって大きな潜在顧客である。

 

つまり、西側諸国がどれだけロシアを痛めつけたいかによる。イランの核の精霊を瓶に戻す見込みのない核合意を犠牲にしてまで、それを行うのだろうか。


西側諸国のある上級外交官は、ロシアからの土壇場の要求によって、2015年の核合意への復帰を時間内に完了することが不可能になる可能性があると述べた。

ラブロフ氏は3月5日(土曜日)に記者団に対し、「我々は、これらの制裁が核取引で規定された貿易・経済・投資関係の体制にいかなる形でも触れないという保証が必要だ」と述べた。

 

「我々は、米国が引き起こした現在のプロセスが、自由で完全な貿易、経済・投資協力、イスラム国との軍事・技術協力に関する我々の権利をいかなる形でも損なわないという書面による保証を求めている。」

 

おそらく西側諸国が幸運に恵まれれば、新しい核取引は静かに死を迎え、西側諸国は手ぶらで帰ることになるのだろう。

バイデン氏とヨーロッパ諸国は、それを失敗とみなすだろう。

しかしイランが、中東やそれ以外の地域で侵略を行う可能性があることを考えると、軍隊を近代化するために何百億ドルも ―ロシアの武器で― 渡すことは会談の失敗を天与のものとすることになる。